特務課 ページ39
No side
それから数日経った或る日──
「みな、よく聞け、異能特務課からの依頼が入った」
福沢は探偵社全員を集めそう切り出した。
探偵社に特務課からの依頼は頻繁にある訳ではないが、
探偵社と特務課は協力関係にある為、珍しいことではない。
しかし福沢の表情はいつもに増して厳しく、社員は緊張した面持ちで福沢の言葉の続きを待った。
「最近横浜の裏で秘密裏にある物が流れ込んでいる」
「ある物、とは?」
国木田が質問すると福沢は袖口から何か袋を取り出す。
その袋の中には白い粉が詰められていた。
「これだ」
「それって……」
袋を見た途端、乱歩の表情が歪む。
「ああ、これは麻薬の一種だ」
「えっ!?」
敦は思わず叫ぶ。
他の社員も驚いているのか少しざわついたが、福沢が話し始めるとまた静かになる。
「特務課がこれを見つけたのは数週間前だ。
しかしこれを押収した時にはもう広く横浜内に流れ込んでいた。
特務課の考えよりも根が深かったらしい。
そこで我々探偵社に協力を仰いで、これを流している組織を捕まえる、というのが今回の依頼だ」
福沢は厳しい表情のまま社員を見渡す。
「この街にこのような物が流れているのをただ黙って見過ごすわけにはいかない。
全力でこれを流している組織を探し、一刻も速く捕まえろ」
「「「はい!!」」」
社員達は返事をすると共に直ぐにそれぞれの仕事に取り掛かった。
・
「全く、おめでたい連中だね」
「何がです?」
敦は太宰と共に横浜で聞き込みをしていた。
そんな途中で太宰の言葉に敦は疑問符を浮かべる。
「敦君、今回麻薬が流れていたのは横浜の何処だい?」
「横浜の裏で…と社長が云ってましたね」
「そう、正解だ」
敦の答えに太宰は満足そうに笑った。
「今回はたまたま特務課が見つけたが、もし特務課すらも見つけられていなかったらどうなっていたと思う?」
「そのまま麻薬は横浜に広がり続ける、じゃないですか?」
「残念、不正解」
「?」
「横浜の裏では常に目を光らせている組織がいるのを敦君は知っているだろう?」
太宰の目は少し鋭さを帯びていた。
「あ……ポートマフィア…」
敦は今まで何度も死闘を繰り広げた組織を思い出す。
太宰は敦の言葉を肯定するようにコクリと頷いた。
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jumpcontrolbear(プロフ) - ゆきさん» コメントありがとうございます!!楽しんでいただけて何よりです三└(┐卍^o^)卍 (2019年8月13日 1時) (レス) id: 34857aaa52 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - とっても面白いです!!作者様すごいです!! (2019年8月12日 1時) (レス) id: e69c1b6ddb (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - 裕さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて凄く嬉しいです!!更新頑張るので楽しみにしていてください! (2018年4月6日 23時) (レス) id: c47121f885 (このIDを非表示/違反報告)
裕(プロフ) - 続きが気になります!めっちゃ話に引き込まれて好きです!夢主さんも凄い好みで!更新頑張って下さい! (2018年4月6日 14時) (レス) id: 6354e2d8d5 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - やひーさん» ありがとうございます!頑張りますね!! (2018年3月19日 0時) (レス) id: c47121f885 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だし丸 | 作成日時:2017年8月31日 1時