【文豪ストレイドッグス】お得意サマ【双黒】

和菓子好き ページ29

『はい、連れてきましたよ』



和菓子屋さんのお婆さんに猫を渡す。



「ありがとうねぇ、良かったわ、無事に見つかって」



お婆さんに撫でられて猫はご機嫌そうに鳴いた。



「はい、お駄賃」



ボクはお婆さんから封筒を受け取ったが





『こんなにいらないですよ』



中には多すぎる金額が入っていたため、半分抜き出して封筒を返した。




「でも普段からお店で買ってもらってるし…お世話になってるから…」



『ならこれからもご贔屓にさせてくださいよ。

この分で結構です』



お婆さんは少し悩んでから、思いついたように奥に行って何かを持って戻ってきた。





「ならAくん、これ持って行ってちょうだい！」




渡された袋の中には可愛らしい練り菓子。




『いただきます』



それは有難く頂戴しておいた。




『あ、それとみたらし団子を3本お願いします。


乱歩さんに買ってくるよう頼まれてたんでした』



「あら、乱歩さんが！

ちょっと待っててね」




そういってお婆さんはみたらし団子を3本容器に入れて渡してくれた。




『それじゃあ、また何かあったらご利用ください』



「ふふ、Aくんもまたお店に来てちょうだいね」



みたらし団子の分のお金を置いて店を出た。






右手に練り菓子、左手にみたらし団子の入った袋を持って歩くボクは相当な和菓子好きに思われるだろう。









『お邪魔しま〜す』




探偵社の扉を開けて中に入った。




「ん？Aか？


何の用だ？依頼はしてないぞ？」




真っ先にボクを見つけた国木田さんが怪訝そうにボクを見る。




『依頼、受けてるんですよ』



ボクは左手に持った袋をガサガサと揺らしながらヘラりと笑う。





「あ！A！！


遅いぞ、待ちくたびれた！」



奥の応接間から乱歩さんが首だけを出して叫ぶ。





『まだ三十分くらいしか経ってませんよ。


はい、みたらし団子』




乱歩さんの前に袋を置いてお金を受け取る。



「依頼書作っといたけどいる？」



もう食べ始めている乱歩さんに苦笑しながら、一応貰っときます、と応えて依頼書を受け取った。





「Aさん、お使いもやってるんですか？」




敦くんが乱歩さんにお茶を出しながら少し意外そうに聞いてくる。




『まあ、依頼されたら何でもやるのが何でも屋ですからねぇ』




「何でも屋って大変ですねぇ」




『案外楽しいですよ』




ボクはニコッと敦くんに笑いかける。

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