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後片付け ページ23

「鳥羽っ!!」



扉から勢いよく入ってきたのは中原だった。




『あ、中原さん。

お疲れ様です、狙撃手全部片付きました?』




Aは中原に気がつくとニコリと笑って拳銃をハーネスに仕舞う。




「…あ、あぁ。今部下に片付けさせてる」




中原は会場内に転がっている死体に目をやりながら応えた。





「お前、これ全部一人で殺ったのか?」




『ええ、もちろん。ボクしか居ないですし』



中原の質問にAは笑いながら返す。





その時不意に着信音が響いた。




「ん?悪ぃ、俺のだ」



中原はポケットから携帯を取り出し耳に当てる。




中原は電話の相手と二、三言葉を交わすと、携帯をAに差し出した。




『ボクにですか?』



「ああ、首領からだ」




Aは中原の手から携帯を受け取りもしもーし、と声をかける。




「やぁAくん。

怪我はないかい?」



森のその言葉にAは露骨に顔を歪めた。



『その言い方、敵襲があること知ってたんですね。

何が″万が一の時のために″ですか』



「知ってた、というより判ってた、の方が近いかな」



森のふざけたような言い回しにAは内心イラッとしながらもそれをぐっと抑えた。



『……で、ボクに何のご要件ですか?』



これ以上非難しても無駄だと悟ったAは話の先を急ぐ。



「そうそう、何でも屋の君に追加依頼をしたい。

その場の後片付け、その場で死んでいる者を消してもらいたくてね」



Aは会場内で倒れている死体をちらりと見る。



先ほど殺した者や庇いきれなかった銃弾で死んだ者。




『はぁ…判りました』



「依頼書はこの後渡すよ」



それだけ云うと森は電話を切った。



「後片付け、頼んだ」



中原に携帯を返す際に言われた言葉に少し神妙な面持ちで頷くA。



『…おいで』



Aがそう云うと床の上でじわじわと広がる黒いモヤ。

そのモヤは死体をゆっくりと呑み込むと消えていった。



『…終わりました』




Aが中原の方を向いたその時、割れた窓から風が入りAの髪を揺らす。




「!……やっぱりあの時のは見間違いじゃなかったんだな」



顕になったAの左目は右目の紫色とは違う血のように紅い。


中原が倉庫地帯でAと戦った時にも見た左目。



『…あんまり見せたくないんですけどね』



「綺麗だ……」



前髪を戻そうとした手が思わず止まる。

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jumpcontrolbear(プロフ) - ゆきさん» コメントありがとうございます!!楽しんでいただけて何よりです三└(┐卍^o^)卍 (2019年8月13日 1時) (レス) id: 34857aaa52 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - とっても面白いです!!作者様すごいです!! (2019年8月12日 1時) (レス) id: e69c1b6ddb (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - 裕さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて凄く嬉しいです!!更新頑張るので楽しみにしていてください! (2018年4月6日 23時) (レス) id: c47121f885 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 続きが気になります!めっちゃ話に引き込まれて好きです!夢主さんも凄い好みで!更新頑張って下さい! (2018年4月6日 14時) (レス) id: 6354e2d8d5 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - やひーさん» ありがとうございます!頑張りますね!! (2018年3月19日 0時) (レス) id: c47121f885 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:だし丸 | 作成日時:2017年8月31日 1時

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