手遅れ ページ11
No side
金曜日、夜の十二時半頃、横浜のスラム街の中の倉庫地帯。
物陰に隠れながら辺りの様子を伺う三人の人影。
「静かですね。」
「確かに、静か過ぎる気がするね。」
『可笑しいですね、そろそろ時間の筈ですが。』
敦、太宰、Aは約束通り密売人達を捕らえる為に隠れていた。
しかし時間が近づいてきても代わり映えのしない周りに三人は疑問を持ち始めていた。
「少し様子を見よう。」
太宰の言葉に敦は頷く。
Aも頷きながらフードを深く被り直す。
その時突然Aが立ち上がった。
「A、さん？」
敦は強張った表情のAを心配そうに見つめた。
『………血の、匂い。』
Aが呟くと太宰は何かに気がついたように走り出した。
Aと敦も追いかけるように走る。
「……一足、遅かったようだね……。」
「太宰さんっ、……っ！？」
太宰が立ち止まったところで敦が後ろから声を掛ける。
そして太宰の見ていたものに敦も目を向けると息を呑んだ。
そこにあったのは何人かの死骸と飛び散った血。
その場は鉄臭い匂いが立ち込めていた。
『………マフィアさんですね。』
Aは鼻を手の甲で押さえながら云った。
「そんな……。」
敦は血の気の引いた顔をAに向ける。
『二人は速く戻った方がいい。
まだ近くにマフィアさん達がいるはずです。』
Aは周りを見る。
「Aは如何するのだい？」
『お二人が無事に戻れるように、マフィアさん達を引き付けますよ。』
「そんなッ危険です！！」
敦は叫ぶがAはヘラリと笑うと
『こう見えてもボクは腕に自信がありますよ。』
一歩前に踏み出した。
「行こう、敦くん。」
「でも……！」
「Aは強いよ、大丈夫さ。」
太宰が云うと敦は口をぐっと引き締めてからAに向き直る。
「気をつけてくだい！」
敦と太宰はその場を走り去った。
『……今晩は。』
それからしばらくしてAは振り返る。
そこには黒い帽子を被り、身の丈ほどの外套を羽織っている青年。
「軍警が嗅ぎ回ってると思ったが……手前ぇ、軍警のモンじゃねぇな。」
『えぇ、ボクは軍警の人間じゃないですよ。
中原中也さん。』
青年は自分の名前を云われたことに驚く。
『此処は通しません。』
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jumpcontrolbear(プロフ) - ゆきさん» コメントありがとうございます！！楽しんでいただけて何よりです三└(┐卍^o^)卍 (2019年8月13日 1時) (
レス) id: 34857aaa52 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - とっても面白いです！！作者様すごいです！！ (2019年8月12日 1時) (レス) id: e69c1b6ddb (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - 裕さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて凄く嬉しいです！！更新頑張るので楽しみにしていてください！ (2018年4月6日 23時) (レス) id: c47121f885 (このIDを非表示/違反報告)
裕(プロフ) - 続きが気になります！めっちゃ話に引き込まれて好きです！夢主さんも凄い好みで！更新頑張って下さい！ (2018年4月6日 14時) (レス) id: 6354e2d8d5 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - やひーさん» ありがとうございます！頑張りますね！！ (2018年3月19日 0時) (レス) id: c47121f885 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：だし丸 | 作成日時：2017年8月31日 1時
