40針 ページ41
ポートマフィアにきてから2ヶ月が経った。
先生に言われた通り本を読み、言葉を調べ、漢字や英語を覚える。
体術も最近ようやく形になってきたと思う。
最初の頃は受け身すらまともに取れなかったけれど最近は攻撃することも出来る。
そして、今日は初めての仕事。
「A、今日は敵さんの情報収集及び、沈静化が目的だから何人かは生かしておくようにな。」
『はい、分かりました!』
先生はそう言って車に乗り込む。
私も後部座席に乗り込んで窓から景色を眺める。
車が止まって倉庫の前で降りる。
「この2つ奥の倉庫が今日の目的の場所だ。
中にいるやつに気づかれないように静かに行くぞ。」
倉庫の周りにはスーツを着た人達が構えている。
先生と私はその真ん中を通っていく。
視線が痛い。
私はまだポートマフィアで認められている訳ではない。
どこの誰とも知らないこんな小娘が参謀と共に行動している事が気に食わないのか、それとも怪しく思っているのか。
どちらにせよ分かっていたことだから辛くはないし、特に気にもかけない。
1つだけ気に食わないのが目線。
私を見る目が鬱陶しい。嫌な目で見ないで欲しい。
先生は目的の倉庫の前に着くと私の方を見る。
「さてと、A、初仕事だからって力みすぎるなよ。」
先生は小さな声で笑いながら言った。
私は頷いて準備をする。
先生は倉庫の扉に手を掛け思いっきり開ける。
「どうも、ポートマフィアの中村です。」
先生を認識すると中にいた人たちは騒ぎ始める。
そして銃を持ち先生を狙い撃つ、その前に外で待機していたポートマフィアの人間が中に入り銃を乱射する。
私も中に滑り込み異能力を使い片っ端から人を殺していく。
初めて人を殺すのに、私の心は落ち着いていた。
気づいた時には周りは赤に包まれていた。
「A」
先生が私を呼ぶ。
そこで初めて私は気づいた。
私の周りには倒れている人間はみんな死んでいる。
「俺が言ったこと覚えてる?」
『あ…………。』
何人かは生かしておくように、そう言われていた。
「はぁ……」
先生はため息をついて近寄ってくる。
周りで立っていたスーツの人達が緊張する。
ぴしゃぴしゃと赤い水たまりを踏みながら先生は目の前に立った。
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作者名:だし丸 | 作成日時:2017年2月3日 0時