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33針 ページ34

「中村参謀ッッ!?」


部下は突然のことに驚いて女の子に向かって銃を向ける。


いやいや、首領がわざわざ買った子を簡単に殺そうとしないでよ、俺が怒られるじゃん……。


「まぁ、お前ら待ちなさいよ。」

慌てて部下に静止をかける。


俺はもう1度地面に突き刺さっている針を見つめる。


あぁ、勿体ない。

もっと俺なら上手く使えるのに。
異能も使いこなせないままに、そんな簡単に死のうとしないでよ。



俺はあの子に興味を持った。
あの子がこの世界で生きていけるように育てることを決心した。
その綺麗な緑の目に光を浮かべているところを見てみたくなった。

いろんな感情が湧き上がる。
こんな感覚久しぶりだ。

ゆっくりと彼女に近づく。


「残念だけど、君を殺すわけにはいかない。」

ある程度距離をとったところで素早く彼女の後ろにまわりこみ、首に手刀を下ろす。


意識を失い倒れる寸前で彼女を抱える。


「さ、帰るよー。」


出口に向かって歩き出すと


「中村参謀、よろしいのですか!?
その子供は危険です!!」


一番近くにいた部下が焦りながら言う。


「危険、ってなにが?」


「先程のように殺されかけるかも知れません!!」


部下は大声で早口に言ったが俺は気にとめない。


「俺がそんな簡単に殺されると思ってんの?」

目を向けると部下は一瞬黙ったが


「しかし!!その子供の異能力は危険です!!
今のうちに始末しておくべきです!!」


「うるせぇな、この子の異能力が危険なら、俺のだって危険だろ。

さっさと黙んねえと



この場でバラバラするぞ。」



流石に頭にきた。


「ッツ!!!」


部下はやっと俺の怒りに気づいたようで、ようやく黙ってくれた。


他の部下を見渡すとみんな顔を青ざめている。

やりすぎたかな……


「はぁ〜、悪かったな
早く戻るぞ。」


近くで固まっている部下の肩を叩くと、はっと気づき俺のあとを歩いてくる。


車に乗り込んで後部座席に横になっている彼女について考える。


″危険″という単語がやけに頭にひっかかる。

最初は周りのヤツらに信用してもらえないかもなぁ……。


それでも生きてほしい。
そして俺を理解して欲しい。


ヨコハマの海に沈んでいく太陽を見つめながら俺はこれからどうなっていくのか楽しみになっていた。









あ、そういえばあの子の名前聞くの忘れてた。

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作者名:だし丸 | 作成日時:2017年2月3日 0時

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