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3針 ページ4

結局近くの店に入り私の隣でがつがつと茶漬けを食べる白髪の少年こと「中島敦」くん。



いい食べっぷりだなぁ、なんて感心しながら私は抹茶アイスを食べています。


あ、もちろんお金は自分で払うよ!


治くんと国木田さんは私の正面の席に座って




「おい太宰、早く仕事に戻るぞ」

「国木田くんは予定表が好きだねぇ」

「これは予定表では無い!!」


なんて会話(いや、言い合いか?)をしている。


「ぬんむいえおむんぐむぐ?」


え?敦くんなんて言った?


「五月蝿い」

「んぐむぬ?」

「だから仕事だ!!」


「君達なんで会話できてるの?」


こればっかりは治くんに激しく同意した。



しばらくすると敦くんは茶漬けを食べ終わったようで


「もう茶漬けは十年は見たくない!」


なんて言ってる。



そりゃほんとに三十杯近く食べたらそうなるだろうね。


『にしても、敦くんはあんなところで何してたの?』

あまりにもみすぼらしい格好にずっと気になっていたことを聞いた。


「孤児院を追い出されまして……
食べるものも寝るところもなく…あわや斃死かと」


「君、孤児院の出かい」


「出というか……
経営不振だとかで追い出されたのです」


「それは薄情な施設もあったものだねぇ」なんて治くんがつぶやくと国木田さんに仕事に戻るぞと急かされてしまった。


仕事、という単語に興味を示したのか

「御三方はなんの仕事を?」

と聞かれた。


「なァに、探偵さ」

探偵と言われていまいち想像出来ないのか敦くんはぽかんとしている。


国木田さんは舌打ちをして

「猫探しや不貞調査ではない
切った張ったの荒事が領分だ」


国木田さんはズボンのポケットに入っている拳銃を少し見せた。



『異能力集団【武装探偵社】って聞いたことないかな?』



私が言うと敦くんは黙って考え込んだ。



まぁ物騒な噂とかもあるしそういう反応をするのは当たり前かなー。



目線を前2人に戻すと治くんによって
首吊りを、首吊り健康法と信じ込まされている国木田さん。


確かにこれだと物騒な人たちには見えない。


「そ、それで探偵の御三方の今日のお仕事は」


敦くんの言葉に若干言いにくそうな国木田さんの代わりに私が言ってあげる。



『虎探し だよ』


「………虎探し?」


「近頃、街を荒らしている《人食い虎》だよ。
この近くで目撃されたらしいのだけど」


ガタッと音がしてその方向を見ると

真っ青な顔の敦くんが椅子から転げ落ちていた。

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作者名:だし丸 | 作成日時:2017年2月3日 0時

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