24針 ページ25
いつからここにいる?
私はどこから来た?
私の両親は誰?
疑問を浮かべればいくつも出てくる。
気がついたら私は柵の中で手足に鎖をつけられ拘束されていた。
柵の中は狭く、周りには私と同じように柵の中で鎖に繋がれている人が沢山いた。
覚えていることは自分の名前がAであること、
自分の年齢が10歳であること。
そして自分の持つ能力のこと。
この場所が何をする場所なのかは柵の外にたまにやってくる大人達の会話から大体分かった。
ここは人を売っている場所らしい。
大人達は柵から何人か人を引っ張り出すとそのままどこかに連れていく。
耳をすますと遠くから500万、600万とか数字が聞こえてくる。
柵が空っぽになると数日経ってからまた別の人が入れられる。
連れていかれた人は2度と戻ってこなかった。
私もそういう風に売られるのだろう。
そう思っているとガシャンと音がして柵が開いた。
「今日はお前だ、さっさと出ろ。」
大人は私の手足から鎖を外し強引に引っ張り出す。
痛かったが声はなぜか出なかった。
大人は私の手を後ろで結び目隠しをする。
「お前はあの危険な能力があるからな。
きっと高く売れるぞ。」
独り言なのか、私に話しかけているのか分からないが大人は上機嫌で私をどこかに連れていく。
どこかに着くと私は座らされ首に何か重いものをつけられた。
音や重さからして恐らく鎖だろう。
また鎖か、なんてことを思っているとガチャと何かが閉まる音がした。
どうやら私はなにか箱の中に入れられたらしい。
箱は移動してどこかで止まる。
たくさんの人の話す声が聞こえた。
「皆様!お待たせいたしました!!
本日の大目玉でございます!」
誰かがマイクで話している。
そうすると人々の話し声はなくなり静寂に包まれた。
「それでは本日の大目玉はコチラです!!」
バサッと音がして何かがめくられた。
目隠しをされていても眩しく感じた。
どうやら先程まで箱に布を被せられていたらしい。
「まだ子供だな。」
「髪の色は灰色か、目の色は何色だろうな?」
「8、9歳くらいか。」
「あんな子供がなぜ今日の目玉なんだ?」
ザワザワと感想を述べる人々。
あまりに多くの視線を感じて私は寒気がした。
「女の子供で年齢は10歳です。
体は小柄ですが障害や病気はありません。
目の色は諸事情により見せられませんが緑色です。
ではまずこの時点で始めます!
購入希望の方はお値段をお願いします!」
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作者名:だし丸 | 作成日時:2017年2月3日 0時