【文豪ストレイドッグス】蜂の在り処 (ページ19)

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18針ページ19

「Aさん、このファイルもお願いします。」

『分かりました。』

昨日に引き続き書類の整理をしている。

ときたま医療室の方向から叫び声が聞こえるが谷崎兄妹が無事に生きてる証拠なので特に気にとめない。

「A、下に置きっぱなしの書類を持ってくるのを手伝ってくれ。」

入口から国木田さんに声をかけられた。

どうやら敦くんとの話しは終わったみたいだ。

敦くんは結局昨日は目を覚まさず一夜明けた今日、目が覚めたみたい。

腕まくりをしながら『はい。』と短く答えて下に向かう。

『敦くんの様子はどうでした？』

下の部屋で書類を纏めながらさり気なく聞いてみる。

「どうもこうもない。いまいち自分の状況を呑み込めていないようにも見えたがな。」

『敦くんも災難ですねぇ…』

まとめおわった書類を上に持っていこうとした時丁度敦くんが下りてきた。

「こんな所に居ったか小僧。お前の所為で大わらわだ。手を貸せ、こいつを──」

敦くんは国木田さんの横を通り過ぎてしまった。

「おい？」

『敦くん？』

敦くんはこちらに振り向くと

「……安心してください。
これでもう探偵社は安全です。」

今にも泣きそうな笑顔で言ったが

「はぁ？」

『へ？』

私も国木田さんも意味が理解できず間抜けな声を出す。

敦くんはそのまま走り出してどこかに行ってしまった。

『え！？ちょっと敦くん！？』

私が声をかけても敦くんは止まることはなかった。

「放っておけ、そのうち戻ってくるだろう。」

国木田さんは階段を上がっていく。

「全く、この忙しい時にあいつは何を考えているんだ。」

私も階段を上がる。

『さあ？でも考えられるとしたら、自分が探偵社から居なくなれば探偵社が安全になる、
とかじゃないですかね。』

「あいつはポートマフィアを舐めすぎてないか？」

ため息混じりに国木田さんは言ったが、一昨日までポートマフィアの存在すら知らなかったのだから仕方ないか。

事務所について持ってきた書類をファイルに詰めたり、本棚にしまう作業を繰り返す。

もう少しで全ての書類を片し終わろうとした時

扉の吹き飛ぶ音がした。そして大勢の黒服の人間がなだれ込んで来た。

「何ッ……！？」

「失礼、探偵社なのに事前予約を忘れていたな。
それから叩敲も。」

真ん中に立っていた白髪の男性一歩前に出る。

「大目に見てくれ、用事はすぐ済む。」

その言葉と同時に黒服の男達が銃を乱射し始めた。