10針 ページ11
仕事が終わって今は「うずまき」に向かっています
ん？仕事？もちろん完璧にこなしましたよ！
ちゃんとフルボッコにしてお説教もしたからしばらくの間は大人しくしてるだろうね。
「うずまき」に着くと中に入り見渡す。
ある一角で見慣れた面子の揃っている席を見つけた。
『皆さん、こんにちは』
敦くんの後ろに立って言う。
敦くんは相当びっくりしたようで勢いよくこちらに振り返った。
「Aさん！？」
「あら、Aさんもお疲れ様ですわ」
『ありがとう、ナオミちゃん！
敦くんもお疲れ様、それと入社おめでとう』
そう言うと敦くんの顔は徐々に青くなっていった。
空いてる席に座ると
「あぁ、A
午前中君に会えなくて寂しかったよ」
と、隣に座っている治くんに言われた。
さり気なく肩を抱こうとした手を掴んで思いっきり捻った。
「痛いっ！痛いよA！！離してっっ！」なんて言ってる治くんを無視して
『改めて敦くん、私は東野A、宜しくね』
「あ、はい！宜しくお願いします！」
背筋を伸ばして言う敦くんに笑ってしまう。
運ばれてきたお茶を飲むと敦くんに質問された。
「そういえば皆さんは探偵社に入る前は何を？」
その質問でシン、と静かになった。
敦くんは少し戸惑った様子で皆を見渡した。
「何してたと思う？」
「へ？」
『定番の遊びみたいな感じだよ
新入社員は他の社員の前職を中てる、っていうね』
「はぁ……
じゃあ谷崎さんと妹さんは……学生？」
「おっ！中った 凄い」
どうやら見た目から想像したらしい。
中々人のことをよく見てるね〜
「やるねぇ、じゃあ国木田くんは？」
「止せ！俺の前職など如何でも−」
敦くんは少し考えて
「うーん、お役人さん？」
『惜しいなー』
「彼は元学校教諭だよ、数学の先生」
「へぇ！」
「昔の話だ、思い出したくもない」
なんとなく納得するって思ってるんだろうな。
私も初めて聞いた時はあ〜、って思ったからなぁ。
「じゃ、私は？」
治くんは敦くんに聞いた。
「太宰さんは………」
敦くんの顔に想像もつかん……！って書いてある。
「無駄だ小僧
武装探偵社の七不思議なのだ、こいつとAの前職は」
「えぇっ！？Aさんもですか！？」
『うん、一応治くんと同じ職場だったよ〜』
私の年齢で前職があるということに敦くんは余計混乱したようだ。
ま、確かに普通の19歳の女の子ならまだ学生なんだろう。
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作者名：だし丸 | 作成日時：2017年2月3日 0時
