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6章 6-2 ページ35

治くんが何かを云うより早く、敦くんは顔を和らげた。



私も下げていた目線を向ける。


隣の治くんは驚いているのか顔を複雑に歪めた。




「私が、そんなことをするいい人間に見える?」



治くんの言葉に、敦くんはきょとんと目を瞬かせる。




「見えますけど…」



『ぷっ…あははは』



吹き出した私を驚いたように見つめてくる鏡花ちゃん。



その目線も気にすることなく私は笑い続ける。




敦くんにとっては疑う余地も無いんだろうな。


治くんは僅かに瞠目していたけどすぐにいつもの表情に元通り。




笑いすぎて浮かんだ涙を指で拭いながら私も敦くんに聞いてみる。



『ねぇ、敦くん

私もいい人間に見える?』



「え?勿論ですけど」



まるで質問される意味さえ判らない、というように敦くんは即答してくれた。



その答えに無意識に頬が上がってしまう。



治くんはそんな私を見て苦笑する。



「まぁいい」



治くんは呟いてまた歩き始める。


敦くん達に背中を向けて、水平線の彼方に視線を向けた。




「……彼が最期に、退屈と孤独を埋められたならいいが」



『うん、きっと……満足してるんじゃないかな』



無責任な発言だと思うけど何故かそう感じた。





後ろで鏡花ちゃんと敦くんが何かを話しているのを聞きながら微笑む。



その内容にはあえて触れないでおこう。


誰だって様々な過去を持っているのだから。





そこへ聞きなれた声が聞こえて来た。




「くぉらああああ!」



生きとったか、このトウヘンボク!そしてA!!
と叫ぶのは国木田さんだ。



そっち見れば、探偵社の皆がそろって歩いてきていた。



何があったのか、疲れてうなだれている谷崎くん。

手を振る国木田さん。

元気そうな賢治くん。

堂々とした態度の与謝野さん。

そして、落ち着いた様子の社長。




たった一夜会わなかっただけでも、皆の笑顔が懐かしく眩しく見える。



みんなも無事だったんだ、とほっとして呟く敦くんに、治くんが当然さ、と返した。



『私達は″武装″探偵社だよ?』



私と治くんは余裕に満ち溢れた笑みで


「だろ?」

『でしょ?』


と問う。




敦くんは、満面の笑みを浮かべて力強く頷いた。



「はい!」



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jumpcontrolbear(プロフ) - 消しゴムクイーンさん» コメントありがとうございます!!そうだったんですか……ぜひ余裕がありましたらDVDでご覧下さい!終始悶えます(笑) (2018年9月9日 1時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
消しゴムクイーン(プロフ) - こんにちは。DEAD APPLE…私、見れなかったんですよ!見たかった……これからも頑張ってください!! (2018年8月15日 13時) (レス) id: b53efceb36 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - なたさん» コメントありがとうございます!!本編の方も読んでくださってるんですね!ありがとうございます!すごく嬉しいです!更新頑張ります! (2018年5月4日 23時) (レス) id: c47121f885 (このIDを非表示/違反報告)
なた - このシリーズめっちゃ好きなのでデッドアップル編まで読めて嬉しいです!これからも頑張ってください (2018年5月4日 22時) (レス) id: a61dc9da8f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:だし丸 | 作成日時:2018年3月23日 18時

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