5章 4-7 ページ32
「Aッ!?」
「おい!?」
突然倒れ込んだAに二人は思わず叫んだ。
『大丈夫…ただ治くんに触れてないとまた異能が分離しちゃうから。
それと流石にちょっと疲れた……』
辺りはまだ霧が漂っている。
この状態ではまたいつ異能が分離しても可笑しくなかった。
そしてそう云うAの顔色は青白くなっている。
骸砦に居た時点でAは負傷しており、更にフョードルに刺された傷、そして疲労が溜まっておりAは限界に近かった。
「そうだね、A少し休んでいてくれ」
太宰はAの肩に腕を回す。
Aは閉じかけていた目を中原に向けた。
『中也くん『汚濁』…無理させたね…』
手をゆっくりと中原の頬に伸ばす。
『ありがとう…。
治くんも生きてて善かった』
Aは次に太宰に目を向け、少しだけ頬を緩めた。
「…ンな姿のAに、云われても…困んだよ…」
中原もその言葉を最後に気を失った。
『治くん、この後は……』
「あぁ、ここまでは読んでいた…けれどこの先は、彼ら次第だ」
夜はまだ明けない。
宴はまだ終わっていない。
龍は静かにかたちを変える。
・
6章 1-1
神奈川県と東京都を結ぶ高速道路は、規制され、すべて通行止めになっている。
しかし神奈川県側を見張るように、県境で停車する車があった。
特務課の監視班だ。
神奈川県側は白い霧に覆われ、どうなっているのかは判らない。
注意を払いながら霧の様子を観察していた時、霧が突然赤く染まる。
さらに、それまで動かなかった霧が突如として範囲を広げるように動き始めた。
監視員が気づいた時には、赤い霧がすぐそばまで忍び寄っていた。
監視員は、すぐさま車を急発進させるが、間に合わない。
霧に呑み込まれた途端、車は速度を失い、スリップして停車する。
車内からは、先程まで居たはずの人影が消えていた。
「霧のエリアが拡大を始めました!」
異能特務課の通信室に、オペレーターの声が響く。
「異能特異点の変動値、計測不能!」
「拡大速度、毎時二〇粁、現状の速度が続いた場合、約一時間三五分で関東全域、約十二時間三六分で日本全土、地球全体が覆われるのは約一六八時間後です!」
計器が鳴り響く音を黙らせるように、けたたましい音が鳴る。
「これは……英国の特務機関から通信コールです」
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jumpcontrolbear(プロフ) - 消しゴムクイーンさん» コメントありがとうございます!!そうだったんですか……ぜひ余裕がありましたらDVDでご覧下さい!終始悶えます(笑) (2018年9月9日 1時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
消しゴムクイーン(プロフ) - こんにちは。DEAD APPLE…私、見れなかったんですよ!見たかった……これからも頑張ってください!! (2018年8月15日 13時) (レス) id: b53efceb36 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - なたさん» コメントありがとうございます!!本編の方も読んでくださってるんですね!ありがとうございます!すごく嬉しいです!更新頑張ります! (2018年5月4日 23時) (レス) id: c47121f885 (このIDを非表示/違反報告)
なた - このシリーズめっちゃ好きなのでデッドアップル編まで読めて嬉しいです!これからも頑張ってください (2018年5月4日 22時) (レス) id: a61dc9da8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だし丸 | 作成日時:2018年3月23日 18時