プロローグ 4 ページ4
澁澤龍彦。
男の名前であり、この男を殺せば、龍頭抗争は終結する。
この抗争の原因の人物に中原くんは一歩前に出た。
「…俺の仲間を返せ」
中原くんの声にようやく私達の存在に気付いたのか、澁澤は顔を上げる。
「ようこそ、退屈なお客人」
感情の無い瞳を向けられる。
「どうせ君達も私の欲するものを与えられはしない…早々に死にたまえ、彼らのように」
澁澤の背後に霧が立ち上った。
そして、その足元には何かが転がっていた。
中原くんが隣で目を見開いた。
転がっていたのは、中原くんの仲間達。
行方不明になっていた六人全員がそこに転がっていた。
全員瞳孔が開いてぴくりとも動かない。
死体を見慣れている私でなくても、死んでいることは判るだろう。
澁澤は淡々と告げる。
「君の友人はみな自 殺したよ。
退屈な人間は死んでも退屈だ」
「てめええ！」
中原くんは怒りを隠すこともせず怒鳴りあげた。
顔に異能痕が走り、手袋が弾け飛んだ。
腕や首にまで異能痕は広がり、彼を中心に風が巻き上がる。
はためく外套を押さえながら一歩だけ後ろに下がった。
「止めるなよ」
中原くんは短く私と太宰くんに告げて、澁澤と向かい合う。
「やれやれ……善いのかいA？」
ため息混じりに太宰くんが聞いてくる。
『″陰鬱なる汚濁″…ですね。
止めた方が善いとは思いますが……』
中原くんの異能が暴走を始める。
自我はなく、ただ本能のままに破壊を求める。
絶叫。
咆哮。
轟音。
ありとあらゆる音をあげ、ビルがまるごと破壊される。
衝撃波が大気を揺るがし、破片が砲弾のように飛び散った。
銃弾が降る。砲声が響く。路面が抉れ、血塵が散る。
哄笑と悲鳴が飛び交い、怨嗟の声が街を蝕む。
数多の命を奪い、夥しい惨劇を生んだ龍頭抗争。
五千億円という大金をきっかけに始まった抗争は、ヨコハマ全土を戦場へ変えた。
この抗争で私は何をしただろう？
戦いに身をやつしたわけでも
誰かを喪ったわけでも
迷子を引き取るわけでもなく
ただ抗争で力を奮い、淡々と死んでいく命を目に写しただけだった。
それでいい。
私にはそれが一番似合っている。
君も、そう思うでしょ？
私の一番近くで、私を見ている君もそう思うでしょ？
それから六年後。
──龍は、眠りから目覚めようとしていた──。
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jumpcontrolbear(プロフ) - 消しゴムクイーンさん» コメントありがとうございます！！そうだったんですか……ぜひ余裕がありましたらDVDでご覧下さい！終始悶えます（笑） (2018年9月9日 1時) (
レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
消しゴムクイーン(プロフ) - こんにちは。DEAD APPLE…私、見れなかったんですよ！見たかった……これからも頑張ってください！！ (2018年8月15日 13時) (レス) id: b53efceb36 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - なたさん» コメントありがとうございます！！本編の方も読んでくださってるんですね！ありがとうございます！すごく嬉しいです！更新頑張ります！ (2018年5月4日 23時) (レス) id: c47121f885 (このIDを非表示/違反報告)
なた - このシリーズめっちゃ好きなのでデッドアップル編まで読めて嬉しいです！これからも頑張ってください (2018年5月4日 22時) (レス) id: a61dc9da8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：だし丸 | 作成日時：2018年3月23日 18時
