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異能に引き込まれたお兄ちゃんは、一瞬で先生達や私達を襲ってきた人達を殺した。
そして気がついた時には私の目の前には爪を振り上げた獣がいた。
殺されて死ぬんだ、と幼いながらに感じたのを覚えている。
「A、俺を殺せ！」
その時、遠くで倒れていたお兄ちゃんが叫んだ。
「お願いだ！俺を！！早く！！」
お兄ちゃんの叫び声と獣の唸り声、血の匂いと、目の前の鋭い爪。
全部がグチャグチャになって何も判らなくなった。
だから気がついたら叫んでいた。
『殺して！！』
その瞬間、獣は私に向けていた爪をお兄ちゃんに向けた。
爪が空気を裂く勢いのまま、お兄ちゃんの首を薙いだ。
そして、孤児院も、その場の死体も、そこにある全てのものを壊した。
獣は動物の形をした影だ。
だから私の命令に従ってしまった。
そして、殺して、という命令通りにお兄ちゃんを殺した。
そしてこの後が私の最大の過ち。
私は死んだお兄ちゃんを見て泣き叫んだ。
独りにしないで、置いていかないで、と。
_______________……
『あの時私が″独りにしないで、置いていかないで″、そう云ったから獣は残ってしまった。
異能の持ち主であるお兄ちゃんが死んだ時点で獣は消えるはずだった。
だけど私の言葉のせいで獣は残った』
お兄ちゃんは獣の姿のまま何も云わずに、じっと私を見つめている。
『そしてもう一つ、私は過ちを犯した。
あの時、私は殺したお兄ちゃんを強く求めた。
お兄ちゃんが戻ってきてほしい、そばにいて欲しい。
そのせいで、お兄ちゃんの魂のようなものは獣に取り込まれた』
私は強く手を握る。
全て、私のせいなんだ。
『私はずっと、獣が私の異能に自ら入り込んだと思ってた。
でも違った。
あの夢を見て思い出したんだ。
私が全て壊して、 そして獣とお兄ちゃんを縛り続けた』
強く握りすぎた手からは血がポタリと落ちた。
それを見たお兄ちゃんがぺろりと私の手を舐める。
〔獣になってからAをずっと見てた。
あの時俺を殺してくれと頼んだから、お前を長く苦しめた〕
私はブンブンと首を横に振る。
流したくもないのに涙が溢れる。
〔A、俺は怖かったんだ。
いつかAが俺のことを忘れるんじゃないかって。
だからAを刺して、過去の夢を見させた〕
獣の姿なのに、お兄ちゃんの優しい声にまた涙が零れた。
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jumpcontrolbear(プロフ) - 螺旋さん» コメントありがとうございます！！そんなに喜んでいただけて私も嬉しい通り越して恥ずかしいです(笑)またいつでも読みに来てください！ (2019年10月17日 0時) (
レス) id: 34857aaa52 (このIDを非表示/違反報告)
螺旋 - 初めましてです!めっちゃすんごく感動しました!!なんでこんな良い作品に気付けなかったのだろう…。こんな素晴らしい夢小説を書いて頂きありがとうこざいました!!他作品(?)も頑張ってくださいね！ (2019年10月16日 22時) (レス) id: db579f6a09 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます！！そんなふうに言って頂けて凄く幸せです！この作品を楽しんで頂けて何よりです！これからも頑張っていきます！！ (2018年10月16日 10時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
あまね - 初めまして、素敵な作品を最後まで書いてくださりありがとうございました! 二次創作でこんなに素敵な作品に出会えるとは思っていませんでした。最後まで飽きない設定、魅力的な主人公、時の流れ方や人の掛け合いがどストライクでした。これからも応援しています!! (2018年10月16日 2時) (レス) id: a12fc59e9a (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - Nightさん» コメントありがとうございます！なんとか完結出来ました！また他の作品も頑張っていきます！ (2018年9月9日 11時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：だし丸 | 作成日時：2018年3月23日 15時
