六年前 ページ22
『ボクと兄は物心ついた時には此処にいました。
この施設には他にも沢山子供がいて、施設の先生達と毎日楽しく暮らしていました』
Aは昔話を語るように淡々と話す。
『そんなある日の事です、龍頭抗争が始まりました。
この孤児院もその抗争に巻き込まれて、子供たちは死んでいきました。
生き残ったのは、ボクと兄と先生達だけ。
そして、ボクは兄と先生達を殺しました』
「……は？」
「なぜ……」
静かに話しを聞いていた太宰と中原は勢いよくAに目を向けた。
『異能に引き込まれたんです』
少し間が空いてから、小さな声でAは云う。
『あの時、初めてボクの異能が発動しました。
異能の存在を知らなかったボクは、自分の身に何が起こったのか判らなかった。
ただ、ハッキリ覚えているのは…兄を殺した瞬間です。
ボクの足元の影から現れた獣が、兄の体を引き裂きました』
Aは足元に目を落とす。
そこにある影はただあるだけだった。
「それじゃあ、異能の暴走？」
太宰はAの顔を伺いながら、一歩Aに近づく。
『いえ、違うと思います。
ボクの異能は、ボクが殺すと決めた人間は必ず殺します。
それ以外の人間には怪我をさせる程度です。
つまり、あの時ボクは確かに兄に殺意を抱いていた』
Aは自分の掌を見つめる。
三人は口を閉じて黙った。
「お前は、その異能を恨んでねえのか……？」
不意に中原が口を開いて、Aを見つめる。
『恨んではいませんよ、何度も命を救けられています。
兄を殺したのも……きっとボクの殺意が原因だから。
ただ…お二人にこの話をしたのはボクに近づきすぎないでほしいからです』
Aは顔を上げて、真剣な声で云う。
『たまに異能はボクのことを引き込もうとします。
まるで足りない何かを補うために…。
もしまた引き込まれたら、今度は何を起こすか判りません』
「異能の制御が……」
『はい、それが原因でボクは特務課に目をつけられています。
ボクの異能は知能を持っています。
太宰さん、貴方が異能無効化を持っていることを獣は知っています。
貴方を殺すとしたら、ボクの体を操るでしょう。
中原さんにもいつ、獣が襲いかかるか判りません。
だからお願いです、仕事以外でこれ以上ボクに関わらないでください』
Aは深く頭を下げた。
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jumpcontrolbear(プロフ) - 螺旋さん» コメントありがとうございます！！そんなに喜んでいただけて私も嬉しい通り越して恥ずかしいです(笑)またいつでも読みに来てください！ (2019年10月17日 0時) (
レス) id: 34857aaa52 (このIDを非表示/違反報告)
螺旋 - 初めましてです!めっちゃすんごく感動しました!!なんでこんな良い作品に気付けなかったのだろう…。こんな素晴らしい夢小説を書いて頂きありがとうこざいました!!他作品(?)も頑張ってくださいね！ (2019年10月16日 22時) (レス) id: db579f6a09 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます！！そんなふうに言って頂けて凄く幸せです！この作品を楽しんで頂けて何よりです！これからも頑張っていきます！！ (2018年10月16日 10時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
あまね - 初めまして、素敵な作品を最後まで書いてくださりありがとうございました! 二次創作でこんなに素敵な作品に出会えるとは思っていませんでした。最後まで飽きない設定、魅力的な主人公、時の流れ方や人の掛け合いがどストライクでした。これからも応援しています!! (2018年10月16日 2時) (レス) id: a12fc59e9a (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - Nightさん» コメントありがとうございます！なんとか完結出来ました！また他の作品も頑張っていきます！ (2018年9月9日 11時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：だし丸 | 作成日時：2018年3月23日 15時
