手段 ページ10
Aは男と段ボールを再び影の中に沈めた。
「それはどうするのだ？」
『特務課に引き渡します。それも依頼内容なので』
国木田の質問にAはそう返してからその場を去ろうと足を出した。
しかしそれを引き止めるように、足に巻き付く黒い布。
『やれやれ、探偵社さんはいいとして……マフィアさんが許してくれませんよね』
Aは足元の布から首を後ろに曲げ目を芥川に向けた。
「逃がしはせぬ」
『嫌です』
Aはニコリと効果音のつきそうな笑顔のまま獣で布を断ち切った。
「おい、首領がお前に話しがある」
そこで耳元に手を当てていた中原がAに携帯を向ける。
「鳥羽君、久しぶりだね。
今回のことは君にしてやられたよ」
スピーカーモードにより、携帯から森の声が聞こえてくる。
『お久しぶりです、森さん。
ボクの思惑通りに進んでくれて一安心してます』
Aは携帯の向こうの森を見透かしているかのように小さく笑った。
「君に頼みがあるのだが。
組織のボスだった男と回収した薬を私達に譲ってくれないかね？」
Aは目を細め、組んだ手に顎を乗せるお決まりのポーズをする森を思い浮かべた。
『うーん、それは困りますね。
ボクも依頼主からのご要望には応えたいので』
頬を掻きながらAは困り顔で首を傾ける。
「力ずくで、でもかい？」
『………』
森の言葉に反応して、中原と芥川は殺気を滲ませながらAを見やる。
暫く黙り込んで考えていたAはおもむろに自分の携帯を取り出すと釦を押して耳に当てた。
『あ、もしもし、坂口さんですか？』
「え！？」
「安吾…？」
太宰や敦、そして中原と芥川はピクリと反応した。
『ボスさんと薬を寄越せってマフィアさんに云われてるんですが、どうしましょう？』
「はァ…貴方への依頼は薬の流出阻止及び組織の長と薬の回収、そしてそれらを阻む者には攻撃の許可を出していますが」
『あはは、やっぱりそうですよね』
携帯から聞こえてくる安吾の声にAは軽く笑ってから電話を切る。
『─だそうです。
力ずくでも構いませんよ、ボクもそれなりの手段を取りますから』
Aの背後で獣が唸り声をあげながら中原と芥川を睨んだ。
「ふむ、それならば仕方が無い。
と云いたいところだが、ここで君を相手にすると後々が面倒になりそうだ。
今回のことは手を引こう」
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jumpcontrolbear(プロフ) - 螺旋さん» コメントありがとうございます！！そんなに喜んでいただけて私も嬉しい通り越して恥ずかしいです(笑)またいつでも読みに来てください！ (2019年10月17日 0時) (
レス) id: 34857aaa52 (このIDを非表示/違反報告)
螺旋 - 初めましてです!めっちゃすんごく感動しました!!なんでこんな良い作品に気付けなかったのだろう…。こんな素晴らしい夢小説を書いて頂きありがとうこざいました!!他作品(?)も頑張ってくださいね！ (2019年10月16日 22時) (レス) id: db579f6a09 (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - あまねさん» コメントありがとうございます！！そんなふうに言って頂けて凄く幸せです！この作品を楽しんで頂けて何よりです！これからも頑張っていきます！！ (2018年10月16日 10時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
あまね - 初めまして、素敵な作品を最後まで書いてくださりありがとうございました! 二次創作でこんなに素敵な作品に出会えるとは思っていませんでした。最後まで飽きない設定、魅力的な主人公、時の流れ方や人の掛け合いがどストライクでした。これからも応援しています!! (2018年10月16日 2時) (レス) id: a12fc59e9a (このIDを非表示/違反報告)
jumpcontrolbear(プロフ) - Nightさん» コメントありがとうございます！なんとか完結出来ました！また他の作品も頑張っていきます！ (2018年9月9日 11時) (レス) id: 10ce31b7ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：だし丸 | 作成日時：2018年3月23日 15時
