第99話 再開と追跡。 ページ10
.
あの店の酒は美味そうだとか、あの店の女将はどうだとか、蜻蛉さんの口は閉じる事を知らない。
鬼舞辻への緊張や恐怖をほぐしてくれているのか、それともただの性分なのかは分からないが、今のところ私は落ち着いている。
「キャアアアアッ!!」
そうして歩いていると、突然、女性の叫び声が聞こえて来た。目を使って見れば、信じられない程真っ黒な色が見えた。
思わず息が詰まって、冷や汗が頰を伝った。テンパってまともに息が出来ない。手が震える。足が訛りの様に思い。気を抜いたら倒れてしまいそう。
近くに居る。この通りの先に。奴が居る。
そう、遂にあの時がやって来たのだ。
『(どうする…。下手に動いたら皆殺られる。炭治郎も、禰豆子も…皆、守らないと。皆、生きて…生きて帰らないと…。)』
誰も失いたくない。こんな所で。
でも、私じゃ、とても敵わない。
「お_____い!_____おい…!」
どうしよう。
どうしよう。
ドウシヨウ。
「っ!おいっ!A!」
『!』
「どうした!しっかりしろ!」
ハッとして周りを見れば、一番に目に写り込んで来たのは馨くんの顔だった。
…いけない。冷静にならないと。
「さっきの叫び声…、奴が居るんだな?」
『…はい。』
「どこだ。」
『この通りを真っ直ぐ進んだ所の…。男性が1人鬼にされました。その奥さんが肩を噛まれて、今、炭治郎が男性を押さえている…。』
「炭治郎?」
「俺達の同期です。」
まだ、心臓がバクバクいってる。こんな色の鬼…鬼の根源。家族の仇。世界で一番、憎い存在。
馬鹿みたい。あんなに殺してやりたいと思っていたのに、いざ実物を前にするとこんなに縮こまって。
「鬼舞辻無惨!!俺はお前を逃がさない!どこへ行こうと!地獄の果てまで追いかけて、必ずお前の頸に刃を振るう!!」
炭治郎…。
『…行きます。』
「おう。」
「よっしゃ!」
人混みを掻き分けて彼らの元へ向かう。早く追いつけ。この人混みなら、奴も下手には動けない…!
.
鬼舞辻無惨に会った。こんな都会で、人に紛れて生きていた。誰も…家族ですら、奴が鬼だと気付いていなかった。
それが、全身が震える程恐ろしかった。
男性が鬼にされた。奴は騒ぎに紛れて逃げて行く。
俺の中で憎しみが溢れた。こんなに近くに居るのに、奴に刀を振るえない。
悔しい。悔しい。悔しい。
そんな時、誰が俺に耳打ちした。
『…任せて。奴は私達が追うから。』
800人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
転生したら鬼になったからとりあえず鬼殺隊に入ってみようと思う。(2)【鬼滅の刃】
転生したら鬼になったからとりあえず推しに斬られに行こうと思う。(1)【鬼滅の刃】
もっと見る
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
青花 - 和さん» ご指摘ありがとうございます!!また誤字脱字とうありましたらお願いします!!ぜんぜん図々しいだなんてないですよ!! (2020年3月7日 22時) (レス) id: 08bd86448d (このIDを非表示/違反報告)
和(プロフ) - この小説をいつも楽しく拝見しています。一つ気になるのですが、百二十八話で名前変更のところが間違っている気がします。図々しかったらすみません。 (2020年3月5日 18時) (レス) id: 07f735fd12 (このIDを非表示/違反報告)
青花 - 涙さん» そうですよね。ごめんなさい。直しておきました。今後、言葉選びには十分気をつけようと思います。不快にさせてしまって申し訳ないです。 (2019年12月29日 11時) (レス) id: 4d323b91c6 (このIDを非表示/違反報告)
涙(プロフ) - キチガイは差別用語になるので辞めてください (2019年12月29日 4時) (レス) id: 5e09944bd4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:青花 | 作成日時:2019年10月13日 23時