第95話 滑稽な話。 ページ6
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「米を持って来い！」
「ここは将軍様の領土であるぞ！」
役人共は、私の町に勝手に上がり込み、検地をし、税を課した。そして、その土地をも自分らの物だと言い張り、町を荒らした。
誰が勝手に入っても良いと言った。
誰がこの土地を受け渡すと言った。
誰の許可で…、誰の！誰の！誰の！！
「出て行け…。私の町から出て行け！」
それから、私は沢山の役人を喰った。
その内、役人は来なくなり、平和な町に戻った。
しかし、何処から噂が立ったのか、この町には宝が眠ると言われた。沢山の盗賊が現れ、私は、そいつらも1人残さず喰った。
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『…使命？夢物語の間違えでしょ？…可哀想に、鬼になっても尚、人間だった頃の記憶に取り憑かれているんだね。』
私の目の前に突如現れたその娘は、私を殺しに来た鬼狩だった。
数日前、この娘とは違う男の鬼狩を喰った。娘は、男よりも小さく、貧弱そうに見えたが、動きが速く、攻撃がなかなか当たらなかった。
そして、娘は私を可哀想だと言った。
『私が助けてあげるよ。』
それどころか、私を助けると言い出した。苦しまないように殺してやると。
当然、私は怒った。
お前のような小娘に何が分かるのか。
十数年しか生きていないお前などに。
…だが、ふと、思ったんだ。
何故、私は家族と決別し、1人である事を選び、この町に居続けたのか。
神など居ないのならば、この町を作ってきたのは、守ってきたのは誰だ。
『可哀想に。』
山を開き、家を建て、田畑を耕し、作物を植える。
その作物は、元からそこにあった物ではない。人が持ち込み、育てた物。
この町を作ったのは人だ。
私が好きなこの町を作ったのは人だった。
人がいなければ、何も変わらない。何も始まらない。
「(ああ、痛くない。苦しくない。)」
首が落ち、身体が崩れるその間、私は考えていた。
私が好きだったのは、この町ではなく、町の人々だったのではないか。
1人になってから、鬼になるまでの孤独感。そして、絶望。
私は、ずっと勘違いをしていたのか…。
『ごめんなさい。』
嗚呼、なんて惨めで、滑稽な話。
己の勘違いで、私は何もかも失ってしまった。
あの鬼狩達が来てくれなければ、私はいつまでこんな事を続けていたのだろう。
そう思うと、涙が溢れた。
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「兄ちゃん！早く！早く！」
「気を付けてねー！」
「夕ご飯までには帰ってくるのよ！」
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ようやく、私の夢は途絶えた。
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青花 - 和さん» ご指摘ありがとうございます！！また誤字脱字とうありましたらお願いします！！ぜんぜん図々しいだなんてないですよ！！ (2020年3月7日 22時) (
レス) id: 08bd86448d (このIDを非表示/違反報告)
和(プロフ) - この小説をいつも楽しく拝見しています。一つ気になるのですが、百二十八話で名前変更のところが間違っている気がします。図々しかったらすみません。 (2020年3月5日 18時) (レス) id: 07f735fd12 (このIDを非表示/違反報告)
青花 - 涙さん» そうですよね。ごめんなさい。直しておきました。今後、言葉選びには十分気をつけようと思います。不快にさせてしまって申し訳ないです。 (2019年12月29日 11時) (レス) id: 4d323b91c6 (このIDを非表示/違反報告)
涙(プロフ) - キチガイは差別用語になるので辞めてください (2019年12月29日 4時) (レス) id: 5e09944bd4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青花 | 作成日時：2019年10月13日 23時
