揺らめく目の女【沖田総悟】

82.守る誓い ページ34

...たすけて、なんて呟いて。

それに答えるように颯爽とヒーローが現れるなんてことは、現実では絶対にないのだと、わかっている。


それでも無意識に言葉が滑り落ちたことに一番驚いているのは、他の誰でもなく私で。


(...私は、)


誰かに助けを求めることができたのか、と。




...一体何が私がここまで何かに心を許す原因となったのか、私が一番わかっている。

彼らが......あの、太々しくて図々しい、
それでいて誰よりと優しくて強い人たちが、
私の心の穴にどっかりと居座ったせいだ。



...いつから私は、こんなに弱くなったのだろう。


守るものも、大切なものもなかったあの頃は自分の命ですら価値がないように思えて。

それが幸か不幸か、反撃の余地を生まない猛攻が出来るような剣筋を生み出した。


それがいまはどうだ。



たかが１つの居場所を失いそうになってるこの状況に、恐怖と不安を抱いているだなんて。

.....こんなに弱くちゃ、いつまでたってもあの人たちには勝てっこない。


でも、それでも私は。


(ーーー守り通す、真選組を。)




弱くなった私にも、弱いなりの戦い方がある筈だから。

大好きな彼らのことを、なんとしてでも守ってやる。




1人そんな誓いを立てた私は、縛られた手を強く握りしめた。

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