悟が彼女泣かせた件について。【五条悟】 (ページ7)

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７　恋人の定義と五条悟ページ7

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硝子の方が早く教室を出たはずだった。
しかし最強は違う、数ｍの距離などどうとでもなる。
すぐに前に居た硝子を追い越して、
ふらりと倒れたAを抱きかかえた。

勿論、心の内には罪悪感と焦りが。
けれど、うっすらと頬の紅いAを見て
体調不良だったのか、という疑問を
自分の心に問い掛ける。そうかもしれない、
そう思う点は自分でも分かるほど何点かあったかもしれない。

焦りで頭が真っ白になった五条の耳に、
硝子の凛として、でも焦った声が飛び込んだ。

「…………取り敢えず、Aの部屋に運んで。今日1日私が看病するから。
　2人は先生に連絡しといて、そこら辺にいるでしょ。」

「わかった。」

自分は返事もできなくて。
Aを部屋に運んだだけ。

仮にも彼氏なのに。
周りとは違う特別な感情があったはずなのに。
今はどうだ？なにが周りと違う？

空っぽな腕、先程までAを
抱えていたが、その温もりはもうない。

好きという感情(温もり)も、
今のAの感情(温もり)は、五条に向けられてはいない。

Aが言ってしまった「俺」という単語よりも、
自分が犯してしまった事の大きさにやっと気づいた。
自分が大事にしていはハズの、彼女が。

よく考えれば、無理に笑って、無理に自分と―――――――。

「……先生を探しに行ってくるよ。悟は、」

「…頭冷やしてくる。」

夏油はそう言って、廊下を駆けた。
もう一度、腕を見た。

今の自分には、何もない。

温もりも、特別なはずの、好きという感情も。
夏油が言ったのを見て少し間を開けてから。
五条もとぼとぼと中庭へ向かった。

五条の馬鹿！！

高い声が鮮明に蘇る。
自分は何をやってるんだろう。
好きだと思った女の子相手に。

自分は、何もせずに、喧嘩ばっかで。
恋人らしい、そんな事。
しようとも、考えもしないで。

恋人という自覚はあるものの、
恥ずかしいや馬鹿にされる、
そのうち勝手に縮まっていくでしょ。
少なくとも五条はそう思っていた。

成り行きで、きっと恋人らしくなっていくハズ。