悟が彼女泣かせた件について。【五条悟】 (ページ30)

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３０　呪術師も普通に悩むみたい。ページ30

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『……傑、ほんとに大丈夫？』

「Aにまで言われるけど、大丈夫さ。」

『ねえ若干ディスりに来てるでしょ。』

ばれた？

そう心許なく笑う傑。
悟は少し痩せたと言っていたけど、
きっとあながち間違いじゃないと思う。

授業後。

悟や硝子と居ない1人の傑を狙って傑に会いに来た。
勿論男子寮まで入ると問題だから、
男子寮から1番近い自販機に居たんだ。

無謀だよねぇって思っていたけれど、
案外すぐに傑は自販機に来た。
やっぱり張り詰めた表情で。痛々しい。
私はやっと声に出せた。

『お話、しよう？』

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今、寮の廊下にいるのはきっと2人だけ。
付き合ってるのは悟だけど、
これは緊急事態だから許してね。

悟の親友が、私の大事な友達が。
こうやって何かあったらほっとけない。

『好きに言っていいよ。誰にも言わない。』

「……だろうね、Aらしい。」

『ははは、それもディスり？』

「さぁ、お任せするよ。」

不思議だ、今までに傑と2人きりで
話したことがないみたいだった。

大体は悟か硝子が居て話していた。
けどそれはだいたいで、勿論2人きりのときもあった。
……いや、変なことあったわけじゃないよ？

1年とちょっと、もうすぐ2年か。
それくらいの時間は一緒に居たから、
少なくとも、傑の事は分かっているつもりだった。

それなのに、傑も私もそう言えば無言。
お話しよう、偉そうに言ったくせに
初対面みたいに話題が何も出てこない。
……いや、話題が“出ない”じゃなくて、
“言いにくい”が正しかった。

『………言える範囲で良い、言いたいことだけで言い。私が聞くから、吐き出していいよ。

　辛そうな傑は、〝私達〟見たくないもの。』

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廊下に私の声が少し響いた。
その響いた声が消える頃、
傑は下を向きながら話し出してくれた。

元気のない、小さな声だったけれど。
それはまさに、傑の、本物の心の声に聞こえて。

「……価値が、分からないんだ。」

傑は一言、そう言って切り出した。