悟が彼女泣かせた件について。【五条悟】 (ページ14)

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『悟の馬鹿ッ！！！！』

そう言ってAは俺の腕に、
俺の胸に飛び込んできた。

思考がフリーズした。
多分現状に思考が追い付いていない。
なんで……―――――。

Aの細い腕が俺の背中に回った。
ぐずぐずと泣くお前を今すぐ抱きしめ返したいが、
生憎驚きすぎてか体が何処も動かない。
Aが泣きながら言った。

『………さとる…わたしッ、』

謝られる、直感でそう思った。
何時もそうだった。

俺が悪かった時だって、
喧嘩をすれば決まって謝るのは
何時だってAからだった。

ここで自分から謝られなければ、
彼氏は勿論、男もそうだし。
五条悟失格だ。

俺は、まだAと一緒に居たい。
まだ彼氏で居たい。
そこでやっと腕が動き始め。

俺はAの背中に腕を回し、
Aの肩に頭を置いて、
耳元で囁いた。

.

.

「…ごめん、」

『……えッ、』

案の定Aの反応は驚きすぎてか薄い。
俺も思った、何時もの俺ならぜってー謝らねぇ。
けど今は、意地張ってる時じゃない。

「…ごめんッ、俺が悪かった……！！」

抱きしめ返せば、なんかのスイッチが押されて
俺の口から出てくる謝罪の言葉。
何時もじゃ、口が裂けても言えなくて。

そのせいか一層、
やってしまったという罪悪感が酷い。

『……うわぁあん、さとるぅ…ッ！！！』

「……泣きすぎだ馬鹿。」

Aも似たような感じなのか、
大きな目からはぼろぼろと
大粒の涙が溢れ出ていた。

割れ物を扱うよう、
そっとAの頭を撫でた。

『……ごめん、わたしも悪かったぁッ…！』

「…俺が悪かったつってんだろ！てかいい加減落ち着け。」

『だってぇ～…ぐずッ……。』

「ったく……だぁ鼻水を付けんな！！」

仲直り……元通りになって、
心底良かったとあの時は思った。

きっと、仲直りが嬉しかっただなんて
俺は一生アイツに言えねぇんだろう。
言ったらどうなるか分かる。

それでも、2人は心底思った。
大好きな相手に抱きしめられながら。

元通りの距離になって、良かったと。