悟が彼女泣かせた件について。【五条悟】 (ページ12)

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１２　恋人らしくって。ページ12

本格的に風が冷たく強くなり、
空気も味方をしなくなった。
上着も着ないで五条はベンチに1人、
頬杖をついて座っていた。

無論、何も考えず。
というか、考えるのがめんどくさくなっていた。

自己嫌悪だった。

散々時間も金も気持ちもあった自分が、
Aと一緒にれなかったのか。

いくら性格上喧嘩ばかりしてしまっても、
どうしてAの前位素直になれなかったのか。

どうして、なんで、――――――――。

答が出ないのをいいことに、問題は山ほどあった。
けれど、五条は問題の答を1つだけ知っていた。

どうして今日、Aと普段発展しない
大喧嘩になってしまったのか。

自分のせいだから。

AもAで反省はしていたが、
硝子の言う通り、今回は五条に非がある。

五条も頭を冷やせば事の重大さと、
自分がやってしまったことと。
自分に非があったのを自覚していた。

「別れよう。」

きっとAはそう言うだろう。
当たり前だ、自分は取り返しのつかない事させた。

柄にもなく五条はそれが嫌で不安で。
何時だかこんなに惚れ込んでいるAと、
別れたくはなかったのだ。

中庭に障害物は一切なく、
風を防ぐものも何もない。
雪でも降りそうで。

寒い。

考えなくても感じてしまう。
そろそろ寒さも馬鹿にならなくなってきた。
部屋に戻ろうか、回らない頭でそう思った。

「………俺、クズだ。」

一言そう呟いた。

こんなクズと居れば、Aも楽しくねぇだろ。

別れよう、その言葉に幾分か耐性が付いたような気もした。
部屋に戻ろう。そう思った直後だった。

最愛で、聞きたかった高い声が。
寒い中ずっと欲しかった温もりが、愛が。

.

『………さとるッ！！！』

涙で顔がぐしゃぐしゃで。
髪の毛もまだ跳ねてて。

でも、そんなAだから俺は好きだ。

絶対に来ないと思っていたAが来て、
柄にもなく間抜けな顔をした五条。
お構いなしにAは五条の前まで
走って来れば、

『悟の馬鹿ッ！！！！』

涙でぐちゃぐちゃになりながら、
間抜けな顔をした悟をお構いなし。

寒い風の中、冷たいベンチに座る悟に思いっきり抱き着いた。