【呪術廻戦】五条悟の妹は呪詛師らしい2

呪56 side:(real)you ページ10

夢を見たい。

幸せな夢を。

起きるのが怖くなってしまうくらいの。

嫌になってしまうくらいの。


お兄ちゃん。


たとえ夢でもいい。消えてしまう夢でもいいから

私を裏切ったことなんてないと、私を心の底から愛してると言って欲しい。

幻想の中から掬った幸せを小さな小瓶に詰めてそっと海に流す。

誰にも届かず私の元へ帰って来ればいいと願いながら。

星が初めて息をしたような古い昔に集めた涙のコラージュは胸の傷をもっと深く抉って息を止める。

呼吸を1秒停めればこの優しい世界はそれに合わせて停止してくれる。


私に与えられたたった1秒の倖せ。


お兄ちゃん。

私が2年間憎み続けたあなたの本当の気持ちは一体何なの。

お願いだから。

1秒間でいい。お兄ちゃん、私に倖せを頂戴。





真人｢え？領域展開？｣

『そう』

真人｢…うーん、領域展開はねやっぱりこう気持ちが昂らないとできないよ〜

何をどうするとかじゃなくて自分の内側から湧いてくる感じだから。

領域展開は呪う相手に敬意を払って始めてできる技だよ｣

『へぇ、そうなんだ。

だけど、虎杖悠仁に破られてたね、アンタ』

真人｢あはは〜あれは俺がまだまだだったんだよ。

ところでなんで急に領域展開のことなんか聞いてくるの？

…ああぁ、A、本当はずっと領域展開やりたがってたもんね。夏油の許可が下りないだけで｣

『そうなの。

でももう先生の許可も下りたし何も臆することなんてないから』



真人｢はははっ、何言ってんの無駄だって〜｣



『は？』

真人｢挑戦したいって心構えは俺も結構な事だと思うよ？

だけど実際にやるとなるとそれは無理だよ〜

…“今のAには”｣



まるでバカにするかのように私を笑っている真人。

…このっ！！いつから私にそんな口を聞けるように…っ！！



…ふ、笑ってしまう。

ここから怒ってもきっと真人には届かない。

だからなんの意味もないんだろうな。


『…は？どういう事？』

真人｢だってー、“今のA”は偽物じゃん。

ははっ、偽物のくせに生意気にも領域展開できると思ってたの？｣


『死にたいの？』

真人｢おっと、そんなに怒らないでよ？

俺は事実を言っただけだから♪

じゃあ、もう行くね｣


偽物には領域展開なんてできない、か。

偽物…ん？偽物？


…なんで、真人【アイツ】は私が私じゃないって知ってるの？


…もしこの状況が呪いによって作られているものだとしたら…こんな事が呪術でできるのは…

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