【呪術廻戦】五条悟の妹は呪詛師らしい2

呪58 ページ13

『先生！！！

真人です！彼奴です！

私をおかしくしたのも、きっとこの私の動きを封じてるのもあの呪霊です！

彼奴は危険です、祓いましょう！！！』


先生がそこにいたことに安心した私は気持ちを吐き出すように叫ぶ。

真人、彼奴は敵だ。

一刻も早く祓わなきゃならない。


『せんせ』



傑｢ふ、あはははは｣




私の言葉を遮るように唐突に笑い出す先生。

いつもみたいに優しく、妖しく笑うんじゃなくて
喜劇を見てるみたいに声を立てて笑う。


何？どうしたの…？


『先生？』


傑｢はははは、A…さすがだよ｣


『…？』

傑｢お前は本当にどこまでも優しいんだね？

そうだ、お前の言う通りお前に呪術をかけたのは真人だよ。


だけどひとつ不正解だ、

今、お前の動きを封じてるのは真人じゃない。｣


『…？じゃあ、誰ですか？』





傑｢私だよ、A｣




『？』

傑｢それは対Aの簡易領域だ。

A以外は外部から干渉できるがお前は外に出ることは出来ない｣

『先生……冗談言ってる場合じゃないんですよ』

傑｢冗談？なぜ私が冗談なんて言うんだ？

…A、優しいのも結構だがそろそろ気づきなさい｣

『先生、何を言ってるのかさっぱり…』



傑｢…

そうか、仕方ないね。なら教えてやろう。

……お前に呪術をかけさせたのは私だ｣


…は？

いや、え？先生が？

どういうこと？

冗談？……いや、違う。今は冗談なんか言ってる空気じゃない。


『…せ、先生。なんで…』


傑｢A。

私達が出会った日のことを覚えているかい？｣

『出会った日、…？』

子守唄を歌うように不気味なほど優しく語りかける先生。

先生と出会った日…私があの事実を知った、あの夜のこと？

『はい、覚えてます…』

傑｢私はお前を愛してやると、抱きしめてやると言ったね？｣

『はい！

それから本当に先生だけは私の事を愛して大切にしてくださって…』


傑｢残念だが、それは間違いだ、A｣


『え？』




傑｢この2年間、お前を愛した時間なんて1秒もない｣



静寂が走る鼓膜の中で間違った言の葉の音が紡がれて不正解の日本語が出来てしまった。

“愛した時間なんて1秒もない”

バカ、私。先生がそんなこと言うわけない…


『…先生、すみません、よく聞こえなくて…

もう一度なんて仰ったのか…』

傑｢A、諦めてよく聞きなさい。


私はお前如きの事なんて愛しても大切にしてもいない。


お前はただの捨てるには惜しい駒だ｣

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