イヤホン少女は優しい声が聞きたい１【呪術廻戦】

８ ページ9

Aside



狗巻「こんぶ！高菜！」



ちゃんと休んでね！また明日！的なことを言って帰ろうとする棘。

そんな棘を見て、久しぶりに声聞きたいな、なんて。


そう考えていると、無意識に棘の袖を掴んでいた。



狗巻「???」


『あっ。や、えっと…。』



しどろもどろしてしまい、手を離そうとすると、優しく握られる。

そのまま中に入ってドア閉め、優しく抱きしめられる。

イヤホンをコンコンとノックされ、私はゆっくり頷く。


やっぱりお見通しだったか。

イヤホンノックはイヤホンを外すよっていうサイン。

棘の声聞きたいのバレちゃった。


両耳からイヤホンが取られ、静寂が訪れる。



狗巻「…すじこ？(大丈夫？)」


『うん、大丈夫。』


狗巻「しゃけ〜！(良かった〜！)」



私の耳には、本人が発した言葉の本当の意味まで聞こえる。

そんな呪いじみた術式。

本当は殺したいほど憎いけど、ここは上手く取り繕おう。
そんな感じの裏の意味的なのも言葉と一緒に頭の中に流れ込んでくる。


最近になってからは、相手が喋らなくても心の声が聞こえてくる。

プライベートゾーンに触れるし、私に対する印象も勝手に知ってしまう。

それが嫌で、苦しくて、イヤホンして外の声はシャットアウトしてる。


だから、こうやって防音の部屋で、本当に信頼してる人といる時しか基本的に外の音を聞かない。




いや、聞けない。


相手の負の感情が私の耳から入ることによって、私の呪力は負の感情の量に比例して増える。

それは私が呪力をコントロールするとかじゃなくて、取り込みすぎて呪力が爆発する恐れがあるから。


強いじゃんって思うでしょ？残念、大間違い。

人の悪口とかが頭の中に充満していく感覚。

気が狂いそうになる中での呪力のコントロールは通常よりもしんどい。

なのに増える一方の呪力は中々に抑えてられない。


だから、負の感情を取り組みすぎない環境。

そういう場を作り出さなければ“音”を聞くことは出来ない。

９→←７

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す