どうも、呪縛師です【呪術廻戦】

あるひとりの独白 ページ48

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父親と母親の顔は覚えていない。
物心ついた頃には、家の使用人が身の回りの世話をしていた。


あとから聞いた話だが、
蘆屋の血筋に生まれた父親は呪術師として大成出来るほどの術式を持っておらず、使用人同然の扱いを受けていたそうだ。


それに耐えられず、当主である勧玄に義絶を申し出たところこう答えたらしい。





"子を残せ。そうすれば許してやろう"





そうして生まれたのが、兄･朔(サク)である。




だが、六歳を過ぎても術式はおろか呪力すら芽生えることがなかった。





"天与呪縛…？

並外れた身体能力など呪術師としては何の役にも立たん

誰かの世話役にでも置いておけ"






そしてその年、私が生まれた。
それから二年、私の術式が判明。兄と私を引き換えに両親は晴れて自由の身に。







"A、お前は蘆屋の当主足り得る人間だ。


その自覚を持て"






何度も祖父に言われた言葉。






"また朔の所へ行ったのか


落ちこぼれとは関わるなと何回言えばわかる"





これも、何度も言われた。



幼かった私には、その意味を理解することができなかった。当主の自覚がどういうものなのか、どうして兄と関わってはいけないのか、どうして身の回りの人間の兄と私の接し方に明らかな差があるのかも。







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