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「次からは、ちゃんと呼ぶよ」
「そうして。じゃあ、僕は忙しいから。傑、帰るよ」
「はいはい。また」
二人と別れて、部屋に一人になった。ソファに寝転び、息を吐いた。久々に人と話して、疲れてしまった。目を閉じれば、すぐに眠りに落ちた
そして、口に何か柔らかいものが当たった感覚があって、目を覚ました
「あ、」
「吉野、くん・・・?」
薄く開いた目で見えたのは、吉野くんの姿だった
「お、おはようございます・・・先生・・・」
「おはよう」
体を起こして、吉野くんに返事を返す
「先生が無事で良かったです」
「吉野くんもね。七海くんから、君が亡くなっていたと聞いて、驚いたよ」
笑って俺の心配をする吉野くんに、そう言うと少し笑顔が暗くなった
「・・・真人さんが、悠仁に執着していたので、何としてでも引き離したくて、無理をしました」
「なるほどね。吉野くんは俺の従士なんだから、あんまり無理しないでよ」
「それだけ、ですか?」
「それだけって?」
吉野くんの質問の意図が分からず、訊き返した
「先生に、特別な感情を抱いている、そう言えば分かりますか?」
「吉野くんにも説明したと思うけど、俺はね、そう言うのは、受け取らない主義なんだ」
「それでも、僕は先生の事が好きなんです」
どうしてこうなったのか、同性で吉野くんが好きになるとすれば、虎杖くんだと思っていた。どうして俺に、そう言った感情が向けられるのかが、分からなかった
「俺は吉野くんに何かしたかな?」
「先生は僕に、この世界で、悠仁と同じ世界で生きて行く術を教えてくれました。母さんを助けてくれました」
それに、と吉野くんは、沢山の事を話した。それは、これまでに俺が吉野くんにした事であり、その過程で吉野くんは俺に何かしらの想いを持ってしまった
「こんなの、おかしいとは思ってます。でも、僕は先生、天使さんの事が好きなんです。・・・すみません」
「謝らないで。少し考えてみる」
「ほ、本当ですか!!?」
「まぁ生徒と先生だから、期待はしないでね」
「はい。ありがとうございます」
良い返事が聞けるとは限らないのに、吉野くんは嬉しそうな笑顔を向ける。随分と眩しい笑顔である
生徒と先生という関係の前に、自分と吉野くんは種族が違う。そういう関係になったところで、置いていかれるのは俺の方だ。そんな事を考えながら、吉野くんに一年生の話を聞いていた
自分が眠っている間にも、虎杖くんの立場は悪くなっているようで、日々を忙しくしている悟くんに、更に小言が募っていたようだ
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作者名:空白可能 | 作成日時:2021年1月2日 12時