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「単純明快な話、呪霊が俺に勝てる訳がないんだよ。勿論、力を酷使すれば、それ相応の反動が来るけどね」


十日も寝ていたので、かなりの消耗だったみたいだ。久し振りに大きな力を出したせいもあるが、お陰で貯まっていた祈りも使い果たしてしまった

暫くは、無償で加護を与える事になるのか


「傑も入信すれば?コイツの宗教」
「宗教言うな」
「良いかもね。今の私が信じられるのは、悟や虎杖くん、数える程しかいないからね。天使が良ければ、教えてくれないか?君の加護の話」


夏油くんは、五条くんと同じで、俺に祈りを捧げる事にしたようだ。夏油くんに加護の話をして、暇があれば、祈ってくれとだけ言っておいた


「祈りかぁ」
「そうそう。祈りが糧になるから、よろしくね」
「分かった」


夏油くんはあっさりと承諾した。五条くんが俺に祈りを捧げていると話していたので、その影響もあると思う。夏油くんは、俺の事をあまり知らない。知ろうともしなかった

まぁ彼が何かを知る必要は無いけれど。知っておくべきなのは、現在では御三家のみにまで減っている。それでも、その知っておくべき事は、蔑ろにされているけれど


「傑は従士にしないの?」
「従士?」
「従士ってのは、俺の下に付いて、俺達の力を扱えるようにしたり、呪霊から身を守ったりする事が出来る。今は吉野くんだけしてる」


俺達の力を使わなくても、吉野くんは十分に強いので、特に問題は無いが、渋谷で命を落としていたと言うのは、いただけない話だ


「夏油くんは、大丈夫でしょ。それに、俺に不都合があった時、夏油くんが従士だと色々と面倒そうだから、やめとく」
「そう。ま、Aがそれで良いなら、それで良いと思うけど」
「おや、いつから俺の事を名前で呼ぶようになったのかな?」
「うっせ。いつでも良いだろ」


悪態を吐く五条くんは、そっぽを向いてしまう。夏油くんと顔を見合わせて、小さく笑った


「五条くんは、まだまだ子どもだねぇ」
「うるさい、ジジイ」
「ジジイって言うな。これでも俺は若い方だぞ」
「話の筋が見えないな」


俺の事を知らない夏油くんは、困ったように笑っていた


「その内に分かるよ、傑くん」
「はぁあ!!?何で、僕は五条のまんまな訳!!?」
「食い付くんだ」
「呼んでやってくれ、A」
「だぁああ!!傑まで!!」


初めてこう言った会話をしたので、少し面白く感じてしまう。普段は同世代、同級生だとは思えないが、こういう時だけ、自分が人間であるような気がした

昔の記憶が、ぼんやりしているのも、理由の一つだろうけれど

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作者名:空白可能 | 作成日時:2021年1月2日 12時

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