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「届いてるよ、ちゃんと。だから、君は俺の従士になれたんだ」
「そう、ですよね・・・」
「落ち込まないでよ。今度こそ、彼を守るんだ。命に代えてもね」
「はい。分かってます」
ハッキリと返事をした吉野くんの目には、しっかりとした覚悟が見えた。しかしながら、こんな子どもの命を懸けてまで、救うものなどは何も無い
大人は子どもを守る義務がある。そんな事を誰かが言っていたような気がする
「あ、七海さん」
吉野くんと別れて、校内を歩いていると見覚えのある人が歩いていたので、声を掛けた
「貴方は・・・」
「お久し振りです、七海さん。お仕事ですか?」
「ええ、そんなところです。貴方は?」
「俺は俺に関しての授業ですよ。お陰様で、祈り人が増えて、万々歳ってところです」
これで少しは仲間達に、穢れの無い祈りを捧げられて、能力の制限も掛けられなくなるだろう。今の状態でも十分に強いが、昔のように本来の力を振るう事は出来なかった
「七海さんも文句言う割りには、毎日祈ってくれてますし、助かってますよ」
「五条さんに脅されて、ですけどね。・・・虎杖くんが、彼の者の領域内に入れるよう手引きしたのは、貴方ですか?」
「そんな手引きだなんて。少しだけ力を与えただけですよ。七海さんの祈りを加護に換えて」
七海さんがツギハギくんの領域に入れられた時、虎杖くんは迷わず七海さんを助けようと、領域内に入ろうとしていた。それには少しだけ力が足りず、七海さんの祈りが貯まっていたので、七海さんを助ける為に必要な最低限の力を与えた
「七海さんが死ぬと虎杖くんが哀しむと思って。吉野くんであれだったから、放っておけなくて」
吉野くんが異形になって、虎杖くんは心の底から怒ってしまった。それなら、それ以上の七海さんがどうにかなったら、虎杖くんはどうなるだろう。考えたら、少し怖かった
怒りで、力を見誤る事はしないでもらいたいというのもあったが、虎杖くんの心が、一番大切だ
「それに七海さんは、俺の大切な後輩ですからね」
「私を後輩だと思うなら、その話し方、やめてはどうですか?」
「だって七海さん、俺より大人って感じするから、割りとこっちの方がしっくり来るんですよ」
今まで会って来た中で、まともな大人の部類に入る七海さんなので、五条さんをさん付けで呼ぶよりも、しっくりと来る
「気になるならやめるけど?」
「そうしてください」
「受け良くないのかぁ。敬語って」
「使う相手を間違っています」
「なるほど」
彼とそんな話を暫くしていた
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作者名:空白可能 | 作成日時:2021年1月2日 12時