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悟の体術のツメはまだ甘い。
力を入れなくてもいいところに余計な力が入っている。そのせいで無駄な動きが出て、その一撃自体の力も分散されてしまっている。
傑はそういった基本はできているのだが、狙ってくであろう位置がわずかな力の入れ具合でわかる。
命のやりとりは反射神経の世界だ。相手に次の手が予測されるだけで一気に不利になる。
「お前ら…………特訓やりなおーし!!」
悟に木刀、傑に蹴りを一発ずつお見舞いして私は声高らかにやり直し宣言をした。
ベンチにいる2人からは驚いたような顔が窺える。可愛らしいガキどもじゃないか。
「流石だな。あれからまだ腕は鈍ってねェようだなA」
その聞き慣れていた声に私ははっと顔を上げた。否、ここにいる全員が目を向けた。
金の蝶が舞う紫の女物の着物、片目を覆う白い包帯。
あの日から互いに顔を合わしても踏み入れず、距離を置いていた男。
「え…………待って、なんでお前いんの?似てるやつがいるって、キャラ被りビビって出てきたの??」
「馬鹿か。俺ァ面白ェことが起こってると聞いて来てやったのさ」
「え、源外のジジイのアレで来た、のか?」
「夜中に忍び込んで盗んでやったんだよ」
「え、なにしてんの?なにしてくれてんの?!てかジジイお前らをこっちに飛ばすカラクリじゃなくて私を戻すカラクリを作れって何回言ったらわかんだよ!!」
晋助はゆっくりとした足取りで私に近づき、目の前に立った。
ほんとなにしてんのお前。世界ぶっ壊すんじゃなかったのかよ。
こんなところでなにしてんだよ。
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作者名:フルーツパンチ侍 | 作成日時:2023年9月14日 12時