中学の頃にかっこいいと思ってやっていたことは大体黒歴史 ページ5
私がこっちに来て、ほぼ丸一年が経とうとしていた。
なにやってんだろうなと空を見上げるも、そこには雲ひとつないような晴天が皮肉るように広がっていた。
新学期がきた。
つまりあのクソガキ2人と硝子が2年生になるということだ。
クソガキが先輩になる。その後輩は実にかわいそうだ。
今日はそのかわいそうな後輩一年を私が初めて拝む体術訓練の日。
どんなクソガキが入ってきたのだろうかと少しワクワクしていた。
「よーっすうぃーっすー!クソガキの後輩になるかわいそうなクソガキ一年坊主はどいつだー!」
「うるせぇのが来やがった」
悟があからさまに顔を歪めるのが見えた。
硝子がこっちに手を振っているのが見えて手を振り返す。相変わらず硝子だけはかわいい。
「クソガキ一年坊主は彼らだよ」
傑が目で示しながら言うその方向に私も目を向けた。
お通ちゃん公式ファンクラブ決定戦の時のレースにいた奴と同郷かと疑うほど、堀の深い顔の作りと髪をした長身の男と、私を見て少し緊張しているような浄化した総悟みたいなやつがベンチに座っていた。
「なぁ……お前の先祖にタカティンってやついたりした?」
「は?」
タカティンでは伝わらなかったようだ。
「こいつの話は間に受けるとロクなことねぇぞ」
「このクソガキは先輩だと思って敬わない方がいいからな。クソガキだから」
「お前の方がもっと敬えない大人なんだよ!!」
「私は敬えるところしかねぇじゃねぇか。なぁ硝子?」
「Aは好き。友達として」
「ほら」
「友達として、って言ったの聞こえてなかったのかよ」
「Aのことが好きな硝子に、ガキっぽいだなんて本音を言わせるのは、酷いと思うよ」
「調子乗ってんとボコすぞクソガキども」
木刀を腰から抜こうとする私に浄化版総悟があたふたとしだした。
そういえば名前聞いてなかったな。
「お前ら、名前は?」
木刀を片手に一年坊主に指しながらきく。
浄化版総悟の方がびくっと肩を揺らした。
「ぼっ、僕は灰原雄ですっ!!」
「七海建人です」
浄化版総悟もとい雄は喋るとメガネくんのようなタイプに近いと分かった。
常識人タイプだな。多分めっちゃいい子だろう。
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作者名:フルーツパンチ侍 | 作成日時:2023年9月14日 12時