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寝不足はとてつもなく判断力を低下させる(五条) ページ37

旅行先はど田舎で人が少なかった。
だからAはここを旅行先に選んだのかもしれないが。

夜の風は少し肌寒いと感じる季節。
俺は寝転びながら、隣で寝ている傑を見て、窓の外を見てを繰り返していた。
窓の外からは旅館の外に植えられた木々が見えた。
昨日眠れなかったのに今日も眠れないってなんでだよ。
旅行に行くたび寝不足になっている気がする。

窓の外を目たタイミングで、俺は動く影を見た。
はっと目を凝らすとその影は、Aのものだった。
アイツもいつも旅行先で夜な夜ななにふらついてんだよ。
そう思った反面、俺は起き上がり、静かに旅館から出ていた。

俺がいた部屋から見える方向に歩く。
その近くまで来てわかった。窓から見えた木々は桜だった。
だが、アイツの姿はない。どこに行きやがったんだ。

周囲を見回すと、桜が生えそろっている場所が目についた。そして、その姿も見つけた。

夜の月明かりだけが照らす中、Aは煙管をふかしながら、手のひらで器をつくり散りゆく花びらを掬っていた。
薄い煙がAに絡みつく。その光景はどこか幻想的でこの世のものではないように思えた。

足元で何かを踏んでしまったのか音が出た。
それに気付いたようにAは振り返った。振り返ったAは俺を見て一瞬、目を見開いた。

「ぎんと、…………き、な訳ないな」

少し寂しそうな目をしたそいつが、悟、と俺の名前を呼んだ。

「…………俺で悪かったな」

見間違えんなよ。全く似てねぇって言ったのお前だろ。
あんなクソみたいな野郎に見間違えられたなんて一生の不覚だ。それになんとなく腹も立つ。

「いや…………悟で、よかった」

Aは薄い煙の中で綺麗な笑顔を浮かべた。
なんだよ、それ。

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作者名:フルーツパンチ侍 | 作成日時:2023年9月14日 12時

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