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オフの時でも常に最善の一手は考えるべし ページ32

春が終わりを告げそうな季節。
まだそんなに暑くもなく、ちょうどいい気温。
旅行にはぴったりの時期だった。

歌舞伎町とは似ても似つかない穏やかな風景を飯屋をふらつきながら眺めていた。
綺麗な小川の近くに桜の木が真っ直ぐに並んだ桜並木があった。
その桜は青々とした姿に変わる途中で、桜の花びらがちらちらとちっていた。

松下村塾の近くにもこんな綺麗な桜並木があったなと思い出す。
松陽と、銀時、晋助、ヅラと歩いたこともあった。
また、5人で桜並木の下を歩けたら、どんなに幸せだろうと、叶いもしない光景を思い浮かべた。

そんな綺麗な場所で、醜く争う声が耳に届く。
何事かと目を向けると、子どもが小川でたむろっていた。
様子を見るに、喧嘩ではなさそうだ。

「A、またどこに行くんだ」

傑の声が後ろから聞こえたが、私は子どもたちのいる方に駆けていった。

「おいお前ら、なにしてんの?オネーサンも混ぜてくれよ」
「だっ、誰だよ!?」

腰をかがめながら私はガキどもの中に入っていった。
小学生か、中学入りたてぐらいのガキだろう。

子供が1人、小川の中に浸かって座り込んでいた。
私の事を怯えたような目で見上げてくる。私は確信した。

「なんでお前だけ濡れてんの?」
「ぇ……ぅ…………」
「バナナの皮で滑ったの?」
「し、知らねぇし!!どうでもいいだろ!」
「……いじめてんだろ?」

声を低く、顔を凄めて言うと、ガキどもは震え上がった。
そんなに脅したつもりなかったんだがな。

「こんな1番弱そうなのいじめて、何が面白いんだか。いばり腐ってるやつボコボコにすんのが楽しいんじゃねぇか」

クソガキどもは私を睨みつけて来るだけで何も返事を返してこない。

「それにな、こういうしょーもねぇことをする男はモテねぇぞ?いじめっ子は不良でもないし、不良は中学までモテるかもしんねぇが、高校生になったらすぐに部活のエースに乗り換えられるからな!!女子ってそんなもんだからな!!」
「なんの話だよ!!」

不意にクソガキに体当たりされ、私はバランスを崩し、小川に落ちた。
少し深かったようで、胸から胴体、太ももまで水に浸かった。それを見て、してやったとでも言うような顔をするそのガキに笑いそうになる。

「本当になんの捻りもねぇな。もっと面白いこと出来ねぇの?顔にゴル◯13の落書きするとか」

小川から起き上がり、横で使っていたガキも立ち上がらせる。服がぐしょぐしょだ。

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作者名:フルーツパンチ侍 | 作成日時:2023年9月14日 12時

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