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部屋にAを適当に放り投げ、俺は自分の布団を敷く。
「悟ぅ〜布団、もう一組敷いてくれ〜」
「地べたで寝ろ。むしろここまで運んでやった事をありがたく思え」
「え〜いい子にするって約束したじゃん〜」
「それはお前が勝手に言っただけだろ変態女!!」
俺は速攻、電気を消して、布団を深くかぶり、Aに背を向けた。本当に迷惑でしかない奴。
悟〜、と呼びかけられても俺は全て無視した。そうしてるとAは静かになった。
ようやくゆっくり寝られる。
その時、床が擦れる音がした。
まさかあの痴女、酔って俺の事を襲おうとしてるんじゃないだろうな。
俺は少し体を捻ってAの方を見た。だが、その音を立てたのはAではなかった。
傑が、仰向けで寝ているAに覆い被さるように両腕の間にAを捕らえていた。
傑のほどけた髪が顔にかかっていて表情までは見えない。
その光景に俺は目を大きく見開いた。Aは、それに気づくこともない様子で眠っている。
傑は顔をどんどん下に落としていき、Aの唇を俺の目の前で、奪った。
その光景はスローモーションに見えた。頭が真っ白になる。
なんで、傑はそんなことを……。
なんで、あのAが……気づかない……拒絶しない……。
その唇を離した傑に、俺はすぐに顔を背けた。
その日の夜は全く眠れなかった。
旅行の日の夜は何故かだいたい眠れていない。
今日も傑のその行動のせいで寝られなくなった。
朝日が登る頃、一睡も出来なかった俺は静かに上体を起こし、2人の様子をおそるおそる見た。
傑がAを抱き枕にするように、密着して寝ていた。
なんで俺は朝からこんな光景見せられてんだ。
行き場のない胸のどよめきが俺を支配していた。
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作者名:フルーツパンチ侍 | 作成日時:2023年9月14日 12時