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見事に全部消えていったガラスのコップに入った冷酒にAが声を上げる。
「あーあーさっき注いだばっかだってのに……」
七海と硝子が麻雀牌を混ぜる横で、Aがもう一度酒を注ぐと、それも傑は飲み干した。
「おいおいおいそんな一気に飲むなって!!私への当てつけか?!それとも記憶フライアウェイさせようとしてんのか?!その前にお前、意識フライアウェイすんぞ!!悟!!このクソガキ酒から離してくれ!!」
「俺に命令すんな。お前が酒飲まなきゃいいだけだろ」
「嫌だわ!!私が旅行でなぜ酒を我慢せにゃならんのだ!!」
「クソガキじゃない」
「うわー夏油完全に呂律まわってないよ」
クソガキじゃないと否定した傑はもうすでに少し酔いが回っているようだった。
俺は仕方なく立ち上がって、傑を離そうと両脇を掴んだが、その瞬間、傑がAのことをホールドした。
ダメだこれ完全に酔ってる。
「はいお前も退場」
「え。待て待て待て私の酒!!」
「私が飲んどいてあげる」
「硝子ぅ〜今だけ硝子が小悪魔に見えるぅ〜」
傑にホールドされたAごと引きずって麻雀テーブルから退場させた。
そして空いた席に俺が座る。完璧。
傑の腕からなんとか抜け出そうとしたAだが、それもできず、最終的には諦めてやがった。
そういえば銀髪男の時もこんなことあったな。
お開きにしようとなった頃には、傑はその状態のまま眠っていた。
「寝てやがるのに腕キッツ…………ゴリラかよ」
悟ぅ〜と、傑のことで困ったらすぐ呼んでくるAを睨みながら俺はAの前で仁王立ちしてそいつを見下ろす。
「傑、お持ち帰りしてくんない?テイクアウト受け取り型で」
「言い方やめろ。それとデリバリーにしろ」
硝子はここぞとばかりに写真を撮ってるが、七海たちはちゃんと麻雀を片付けている。
Aは傑から逃げ出そうと少し暴れていたせいでその浴衣は少し乱れていた。
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作者名:フルーツパンチ侍 | 作成日時:2023年9月14日 12時