ページ ページ26
晋助は目を血走らせてて、銀時はあからさまにチラ見してきて、辰馬は触ろうとしてきて、ヅラぐらいしかまともな反応じゃなかったけど。
そういやあんときは17,8ぐらいだったか。
壁の向こう側からひそひそと話し声が聞こえる。
「おいー。また盗み聞きか。盗み聞きするぐらいなら顔出せよ。壁低いし」
「盗み聞いてるわけじゃねーよ!お前らがでかい声で話すから聞こえてくんだよ!」
ここの旅館の風呂の壁はなかなか低かった。悟の白い髪の毛が少し見えるくらいだ。
元々あいつらの身長が規格外だというのもある。それなのに最近さらに伸びてる気がする。
見下ろされるのが不愉快だ。縮めまじで。
足を伸ばして出ていた肩を湯船に沈めて目をつぶる。
風呂から出たらキンキンに冷えたビールを飲もう。
「うわ、A。本当に顔出してきたよクズども」
硝子の声に目を開けると悟と傑が壁の上から顔を出しているのが見えた。今、完全にくつろいでいたのに邪魔するんじゃねぇよ。
本当に覗くやつがあるか。
「顔出せっていうから出してやったんだろ」
「なんだ、女湯もあんまり変わらないな」
「当たり前だろ。本当に覗くとかガキかてめぇら。あ、ガキだったな」
「悟、桶はまだ投げないで」
はぁ……とため息をつく。
人のリラックスタイムを邪魔する天才だなこいつら。
硝子も私もタオルを持って温泉浸かっててよかった。だが、そろそろ暑くなってきたし上がりたい。
ふと、面白そうなことを思いついて私は湯船からタオルを巻いて上がった。
「じゃあお前らー、一生いい子にするって約束しろよー」
「あ?なんだよいい子って」
くるっと振り返り、悟と傑の方向に向き直る。ばっちり2人と目が合った。
「幸せパーンチ」
ふわっと私の体に巻かれていたタオルが落ちた。
「ちょっ……!!?」
「おまっ……!?!うぉ傑掴むなぁ!!」
あんな綺麗に落下するものなのかと思ってやってみたら、本当に2人ともしっかり沈んで行った。
私はその光景に腹を抱えて笑う。
ガシャン!!と壁の向こうで派手な音がした。
打ちどころ悪くて死んでないといいが。
「A……」
呆れたような目を硝子に向けられる。
そんな目を向けないでおくれよ硝子。
「ナミさん直伝、幸せパンチだ!良い子は真似するなよ!」
びしっと親指を立てると硝子にため息をつかれた。
一度気になりだすと頭から離れなくなるから心を無にしろ(五条)→←前ページ
144人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:フルーツパンチ侍 | 作成日時:2023年9月14日 12時