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初めて私たちと一緒に旅行に来た建人と雄はその豪華な旅館の佇まいに圧倒されていた。
本当に、可愛げのある一年坊主だ。
「美しい旅館ですね……」
「すっごいですね……!!こんなところ本当に泊まってもいいんですか……?!」
「いいに決まってるだろう雄。お前らは本当に連れてき甲斐のある奴らだな」
「A、灰原と七海には優しい」
「硝子にも優しいだろ〜?」
「私達にももう少し優しくしてほしいものだね」
「傑にはまだ優しくしてる方だろ。もっと酷いクソガキがいるからな」
「誰のこと言ってんだよ」
「お前だよ」
悟が掴みかかって来るのを押さえ、廊下で旅館の主人に聞こえないように小声で言い争いをする。
この旅館も、私のお客サマに手配してもらったものだ。貸切とは言えど、騒ぎを起こすわけにはいかない。
クソガキがいるとはいえ、旅行は旅行だ。日々の疲れを癒したい。
今回は近くの任務地に寄り道しつつ、ただ食って温泉入って寝る、としか考えていなかった。
硝子と温泉に入りに行き、疲れた体を癒す。
もう向こうの世界のことも、今自分の置かれている状況も一旦忘れてやるんだ。
「ババンババンバンバンッ〜ババンババンバンバンッ〜いっい湯っだ〜なっあはは〜」
「Aのぼせて頭やばい感じ?」
「硝子ちゃん??え、知らない?ド◯フ」
「知らない」
「まじかっ!!有名なんだぞこの歌!銀時達と風呂入った時も、あはは、だけ辰馬に歌わせて爆笑してたんだけどな〜」
「え、混浴?」
「そうだけど」
硝子がぎょっとした顔で私のことを見てきた。
それと同時に、がたっと向こうの壁から音がした。あいつらやっぱり聞いてやがったな。
混浴とは言っても、あの時はたまたま見つけた天然風呂で、仕方なかったからだし、タオル巻いてたし。それにあいつらとは12ぐらいまでは一緒に風呂入ってたし。
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作者名:フルーツパンチ侍 | 作成日時:2023年9月14日 12時