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約束は言ったもん勝ち ページ23

「なーそういえばさ、去年のこのくらいの時期旅行行ってたよなー」

悟が何か言い出した。
ジャン部を下ろし、コーヒーを手に取ると、悟とちょうど目が合った。
なんだか久しぶりな気がする。
最近は大体1年の自習監督してたしな。

「去年の今頃じゃなくて、もっと暑かったろ。早期認知症か。おすすめの歯医者紹介してやんよ」
「ちげーよ。ヤブ医者紹介しようとしてくんのやめろ」

悟も改造手術で股間にサラダ婆つけて来たら腹抱えて笑ってやるのに。

「あー旅行行きてーなー。今あんま任務もねぇし、どっかの運転できる誰かが連れてってくんねーかなー」
「なんですかぁ?ちらちらこっち見てきて。思春期ですかぁ?チェリーなんですかぁ??」
「チェリーじゃねぇよ!!」
「私もAと一緒に行きたいなー旅行。楽しかったなー」
「それは2人の時にまたお話ししよう硝子ちゃん。ここではだめだ。クソガキ2人連れての任務旅行は疲れるし給料が発生しないというか、」
「餃子、ラーメン、牛タン、きりたんぽ、Aはどれがいい?」
「牛タン。…………っておい、行かねぇからな」

なぜかクソガキどもに旅行のおねだりをされている。
この仕事、まとまった休日なんてない上にありとあらゆる雑務があるせいで、当初は旅行しまくり計画を立てていた私も、全くそれが実行に移せずずるずると今まで先延ばしにしてきた。
よくよく考えてみりゃあブラックじゃねぇか。私の週4勤務の夢はどこへ。

それ以前に、旅行行くなら1人か硝子とふたり旅で行きたいんだよ。
校舎は壊しても、私の旅行計画を壊すな。

「給料なら出るかもしれないよ。私達が交渉しておくから。給料が出るなら行きたいよね?」
「何が悲しくてクソガキの子守しながら旅行しないといけねぇんだよ。給料なんてどうせでねぇって」
「出たら連れてけよ」

旅行(強制出張)として給料が出た。

「なんっでこういう時に限って夜蛾さんは融通きくんだよおかしいだろぉぉぉおお!!!」

私はボックス車を運転しながら高速を爆走していた。

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作者名:フルーツパンチ侍 | 作成日時:2023年9月14日 12時

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