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5駅は短いようで少し長かった。
その駅に着いて降りて、後ろを振り返ると、Aは何故かスーツのおっさんの首根っこを引っ張って降りてきた。

「おい、誰だよそのおっさん」
「マダオより理性が働いてないはつじょう期のおっさん、略してマ◯オだ」
「おい。任◯堂に訴えられるぞお前」
「配管工のおじさんとは別人だからセーフだ。それに、こいつは良くて、排水溝のおじさんだ」
「いや、アウトだと思うけど」

Aが掴んでいたのを放り投げると、そのおっさんは転んだ。

「なっ、なんだね君?!私を電車から引き摺り出して!!」
「そのくせぇ口閉じろよ。散々私のケツ触って腰まで押し付けてきやがって。はつじょう期の犬ですかコノヤロー」
「は…………」

傑の方から声が聞こえ、俺は振り返った。
傑は目を見開いてそのおっさんを見ていた。その感情は読めない。

あの電車でそんなことがあったのか。俺は全く気がつけなかった。

Aはそのおっさんの前に立ち、おっさんの足を踏んづけると、そのネクタイを掴んだ。
その異様な光景に周りからの視線が降り注がれる。

「しょ、証拠はあるのか!!」
「なくても作ってやるよ。それに、今お前が股の間にぶら下げてる汚ねぇやつが何よりの証拠だろ。この状態でまだ興奮してるとか、マゾっ子さっちゃんに弟子入りでもしに行けよ。あいつ銀時以外にはすげー当たりキツいけど」

マゾっ子さっちゃん誰だよ。
見てみると、確かにそのおっさんの股間は膨れていた。それに俺も顔を歪める。

ぐりぐりとAがおっさんを踏んづけた。
それは逆効果なんじゃねぇの。

「……A、ダメだよそんなことしちゃ。この豚野郎からしたらご褒美になる」
「ぶっ……?!傑、なんか最近口悪くなってない??そんな子に育てた覚えはありませんっ!!」
「育ててられてはねぇけど、それは確実にお前のせいだ」

傑はこんなに口が悪くなかったはずだ。
そんなくだらねぇ話をしているうちに、おっさんは逃げ出そうとしている。

「おいおいおい誰がここから高飛びしていいと言ったんだコラ。そこの駅のホームから高飛びさせんぞ」
「ひぃぃ……!!」
「殺る気満々かよ。ここは目立つから別の場所にしろ」

Aは改めておっさんを踏んづけ、見下ろした。
おっさんはびびっていた。

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作者名:フルーツパンチ侍 | 作成日時:2023年9月14日 12時

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