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高専に着いて、高杉さんをどうしようか考えていた。
Aはへばってるし、今回は私の部屋に案内しようと思い声をかけた。
高杉さんもそれに了承したことで、Aを部屋まで送り届け、私の部屋に案内する手筈だった。

「しんす、け…………行か、ないで……」

肩から腕を離そうとした高杉さんの首にぎゅっと抱きついて、Aは離れなかった。
高杉さんはそれをあやすも、無理やり剥がそうとはせず、Aも高杉さんを離そうとはしなかった。

「はぁ…………テメェは本当に…………」

高杉さんはそんな様子のAにため息をついて、諦めたようにAのベッドに腰を下ろした。

「……俺ァこっちで休むことにした」

馬鹿が離しやがらねェ、と言いながら、高杉さんのことを離そうとしないAを見下ろす高杉さんの目が細められる。
それを見て、心臓に杭を打たれたような痛みが走った。…………これは、本当に良くない痛みだ。

「そう、ですか…………では……」
「おい」

早々と扉を閉めようとして、高杉さんに呼び止められた。
あと数センチだった扉を少し開いて、私は顔を覗かせた。

「Aは俺たちの世界の人間だ。ゆめゆめ、忘れんな」
「っ……」

高杉さんは心臓に刺さった杭を金槌で打ってきた。
その目を私は見つめることができなかった。
軽く会釈をし、私はその部屋から足早に立ち去った。

少し前から膨張していき、存在感を現し始めたこの杭。
病院に行って抜けるというのなら、どれだけ楽になる事だろうか。
……いや、それもそれで苦しむのだろう。

左胸がしわくちゃになった制服を見て、私は翌朝ため息をついた。

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作者名:フルーツパンチ侍 | 作成日時:2023年9月14日 12時

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