例の流れに気をつけろ(五条) ページ9
高知の旅館も例のお客サマとやらの勧めのようで、旅館の旦那がAのことを盛大にもてなしていた。
Aはいつも通り人たらしな対応をして旦那に取り入っていた。
「じゃ、後は晩飯まで常識の範囲内で好きにしとけ」
それだけ言い残すと、Aは硝子と、とっとと部屋に入っていった。
俺も傑と一緒に部屋に入る。
「なぁにが、『旦那ともう少し早く出会っていたら、ここの女将になってたかも』だ!!嘘つけ!!」
「悟、落ち着いて」
嘘八百で旅館の旦那の方がAに骨抜きにされていた。
出迎えの時は威厳のあった旦那も、もう見るからにAにでれでれになっていた。
なんであんなので騙されるんだか。
「硝子達の部屋に遊びにいくかい?」
傑がそんなことを聞いてきた。
旅館ですることもないし、夕飯まで暇することは目に見えていた。
「…………行く」
俺と傑は荷物を置いて、そのまま隣の部屋に殴り込みに行った。
「悟、入る時は声かけろ」
荷物を置いてすぐの様子だったAが俺に向かって言ってきた。そんなの知らね。
俺は自室のようにAと硝子の部屋でくつろぐ。
硝子がすげー嫌な顔してるのが見える。
「海に入ったから私は風呂に行きたいんだが、硝子はどうする?」
「じゃあ私も行く」
「俺も行く」
「どうぞどうぞ」
「ダチョ○倶楽部やめろ!」
「ダチョ○倶楽部は知ってんのかよ。いまいちよくわからんな」
俺たちもいる部屋でAは普通に下着を出す。
しかもなかなかにえろい下着だ。
本当にこいつ、俺たちのことをなめてやがる。
「勝手に帰れよー」
Aと硝子はそのまま風呂に向かっていった。
また部屋に俺たち2人だけになる。
「……傑、俺らも風呂行く?」
「また盗み聞きしにきたって言われそう」
「あいつらの会話なんてもう興味ねぇよ」
俺たちも結局、他になにもやることもなく風呂に入ることにした。
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作者名:フルーツパンチ侍 | 作成日時:2023年9月2日 4時