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意味のわからないことを言ってくる人の要求はとりあえず警戒(夏油) ページ50

「傑の耳って…………なんか美味そうだよな」
「は?」

ジャン部を読み終え、ぼーっと私のことを見てきたAから目を逸らしていたら、Aが突然そんなことを言い出した。
は?と私は思わずAを見つめ返してしまった。
その気だるげな黄色の瞳と目は合わなかった。

「コーヒーゼリー食いたくなる」
「……それ私の耳と関係ある?」

よし、行こう、となったAを留めるものは誰もいない。
私達3人ともサボりは大好物だ。

私の行きつけの喫茶は、いつしか4人の秘密基地になっていた。
自習中にAの気分で抜け出しては、この喫茶で時間になるまでだらだらとして過ごす。

運ばれてきたコーヒーとコーヒーゼリーにAのテンションが静かに上がるのがわかる。
本当コーヒー好きだよな。

「んまぁ。やっぱりコーヒーゼリーは世界救えるな」
「そんなんで世界救えてたまるか」

悟がケーキを食べながらじとーっとAを見て言った。
硝子はAからコーヒーゼリーを1口もらっている。
それもいつも通りだ。

「傑の耳たぶって、でかいよな」

まだその話は生きていたのか。

「触ってもいい?」
「え…………いい……けど……」

耳たぶ触っていい?なんて人生で初めて聞かれたんだが。
Aがテーブルに手をついて反対側に座っている私に手を伸ばす。
その動きがやけにゆっくりと見えた。
私の耳に触れたAの手は冷たかった。

「おー。硝子、触ってみ」

Aの一言で私は何故か両耳たぶを触られている。
なんなんだ、この状況。

「お離し!傑ちゃんの耳たぶは私のものよ!!」

悟が悪ふざけでノってきて私の肩を抱き寄せてきた。
なんなんだ、この状況。(2回目)

「とりあえず、全員離してくれない?」
「だが断る」
「むりー」
「お前らー傑が離してって言ってんじゃんかー」

お前もだよ。
私はチベットスナギツネのような顔をしていたと思う。

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作者名:フルーツパンチ侍 | 作成日時:2023年9月2日 4時

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