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「お姉さんも!!俺らと一緒に写真撮って!」
Aまで絡まれている。
しかもすごい嫌そうな顔してる。
だがむしろそれがいいといわんばかりにAの許可なく写真を撮る人も大勢いた。
これはそろそろ止めないと、まずいな。
「お姉さん〜綺麗ですね。芸能人だったりとかします?」
Aが人を押しのけて、路地に入った辺りで、また男から声をかけられていた。
その男は馴れ馴れしくAに触れる。Aはそれを静かに見下ろしていた。
何も言わずに触らせているなんて、Aらしくない。
カメラにファンサをし続ける悟は置いておいて、私は人をかき分け、Aの方に向かった。
「あの、」
「A、何をしている?その者は誰だ?」
声のした方を見れば、桂さんが立っていた。
いつの間に……。
「人混みから逃れてきた。こいつは知らん」
Aに話しかけていた男が視線を右往左往させながら混乱している。
「ふむ。その割には我が同志であるAと随分親しげじゃないか」
「勝手に同志にすんな爆弾魔。これを見て状況が分からないお前はある意味天才だよ」
皮肉をそのまま素直に受け取り、桂さんは少し鼻高らかな態度を見せた。
馬鹿な上にポンコツだなこの人。
「俺が天才なのは当たり前だろう。A、あっちの方もなにやら気になるのだが」
「まだ行くのかよ……っておいそれ熟女カフェ!お前絶対わかってんだろ!!」
Aは桂さんに強引に手首を引かれて行ってしまった。
ポンコツでは、なかったのかもしれない。
明らかにキレてるような声なのに、Aの表情はどこか楽しそうだ。
私は、そのナンパ男とともにA達の背中を見つめるしかできなかった。
普段人の下手に死んでも出ないような奴が下手に出てきたら大体なんかある(五条)→←ポンコツな奴も、ただのポンコツではない事もある(夏油)
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作者名:フルーツパンチ侍 | 作成日時:2023年9月2日 4時