見かけと振る舞いだけでは実力はわからない（五条） ページ42
今回も前のように銀髪じゃなくて桂がAの助手席に乗っていた。
そして俺たちは任務に向かうところだった。
「なんだこの街並みは……！！こんな街、俺は知らないぞ！！」
「トウキョーだ。私たちの歌舞伎町の未来、それがこんな感じだ」
「なんだと…………こんなに綺麗な街並みになるのだな」
桂は車の窓に張り付いて物珍しそうに窓の外を見ていた。
その姿は子供のようだ。
ウィーンという音と共にAが助手席の窓を開ける。
張り付いていた桂の顔も一緒に下がっていった。
「A！！なにをする！！」
「別に、窓開けただけだろ」
「わざとだろう！！」
「窓を開けたい気分だったんだよ」
「……それなら仕方ないな」
バックミラーにAの悪い顔が映った。
こいつ、簡単に騙されてやがる。
「未来の歌舞伎町……A、一度見て回ってみたいのだが」
「えー、帰ったらヅラが大人しくお縄についてくれるならいいぞ」
「それは無理だ」
「じゃあ諦めろ」
「え”ぇー」
子供の会話を聞いているような錯覚に陥る。
こいつら本当に27歳だよな？
そうしている間にも到着した。
俺たちは下りたが、今回はAは来ないらしい。
「Aは行かないのかい？」
「ヅラとだったら待ってても問題ないからな。それにこいつも呪霊見えるかわからんだろ？」
「樹霊？なんだそれは。木の妖精のことか？」
なんでこいつも同じ間違え方をするんだよ。
傑はおもむろに低級呪霊を取り出してみせた。
どうせ見えないって。
「な、なんだそれは……？！エイリアンか！？エイリアンなのか！？」
「ん？ヅラ、見えてるのか？」
車の空を飛び回る呪霊をそいつは確実に目で追っていた。
なんで銀髪は見えなくてこいつは見えるんだよ。
Aが車から降りてきた。
トランクから呪具を取り出し、助手席に回って桂も下ろさせた。
「こいつ、使っていいぞ」
桂の背中を押してAが連れてきた。
使って、いい……？
「こっ、これがキモカワというやつか……！！」
…………これをか？
使い物にならない気しかしない。
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作者名：フルーツパンチ侍 | 作成日時：2023年9月2日 4時
