海はやっぱテンションあがる ページ5
「なんだよお前らつまんねぇなー」
なんて言った私は、悟と傑に砂浜で追っかけ回されている。
飛びかかってきた悟を避けただけだったのに……!
「ぜぇぇったいお前らには捕まんねぇよ!!」
「呪霊操術」
「ちょっ……!それはずるいって!!小学生の時の鬼ごっこのバリア並みにずるいって!!」
傑がマジな顔をしながら呪霊に乗って飛んできた。
そんなのアリかよ!!
硝子はその光景を離れたところで面白そうに見つめていた。助けてくれ!!
「お前ら……!っはぁ……15歳が、27歳いじめて、楽しいかよ……!!」
「楽しい」
悟と傑は声を揃えて即答した。
私のスタミナ切れでその鬼ごっこは終わりを告げた。
傑には砂浜に転がった私の両腕を封じられ、悟には脚を封じられた。お互いに息が絶え絶えだ。
これからどんな嫌がらせをされるのか、私の前で立ちながら肩で息をしている2人を見上げる。
「っはぁ、しんど……」
「……やっぱりババアだな」
悟が脚を離して、私のことを見下ろした。
失敬だな!
だが、15のこいつらからしたら27なんて確かにジジババだな。
「お前……私が妙姐じゃなくて良かったな…………妙姐だったらお前今頃殺されてるぞ」
「そんなすぐに俺は殺されねぇわ」
いや、妙姐なめるなよ。あの人中身ゴリラだから。マウンテンゴリラだから。
私は立とうとして、両腕がまだ傑によって捕まれてることに気がついた。
「傑、離してくれ」
「Aには、私達はそんなにガキに見えるのかい?」
突然、私を見下ろしていた傑がそんなことを言い出した。
私の両手は傑に持ち上げられ、そのまま立たされた。
私を片手で起き上がらせるとか、ゴリラだな。妙姐には多分負けるけど。
「あのなぁ、ガキに見えなくても、お前らは15歳、15年しかこの世の中で生きてねぇの。しかも社会と大人に守られながらな。それをガキと呼ばずしてなんて呼ぶんだよ」
傑の手から両手をねじ取り、体に付いた砂を払う。
全力で走ったからマジで暑い。
「硝子〜、一緒に海入ろ〜」
「やだ。ベタベタするし水着持ってきてない」
「えー」
仕方ない。
せっかく水着あるし目の前に海があるのに海に入らずして夏を終えるのは私のポリシーに反する。
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作者名:フルーツパンチ侍 | 作成日時:2023年9月2日 4時