人たらしには本当に気をつけろ(五条) ページ38
今日も傑と合同任務だったのだが、今日の送迎はAじゃなかった。
大体俺らの送迎はAなのだが、たまに違う補佐監督がこうして担当になることもある。
嫌な顔もしない、しっかり任務の説明もする、サボらない、コンビニも寄らない、川で急に遊び始めない、Aなんかより真面目でまともな良い補佐監督だ。なのに、Aじゃなかったことに少し落胆している自分がいることに、俺は気がついていた。
「いつも私達の送迎はAなのに、Aはなにしてるんだろうね」
「またお客サマとか言ってんじゃねぇの」
「もしかして、色気と最高にアンニュイな雰囲気を撒き散らしてるあの遊馬Aさんのことですか?!」
「あ?」
補佐監督の女が急に会話に入ってきた。
聞いてたのかよ。Aなんてあいつしかいねぇだろ。
色気とアンニュイな雰囲気を撒き散らしてるってなんだ。
「Aさん、最っ高にクールですよね!?いつも気だるげそうにしてて、でもそこが良くて!!コーヒー差し入れたら、笑いかけてくれたんですよ!いつもあんまり笑わないのに、子供みたいな笑顔で!!やばいですよね?!あの人!!」
なんか熱くAのことを語ってやがる。
クールって、あれのどこらへんがクールなんだよ。
気だるげにしてるって、ただ単にやる気ないだけだろあいつの場合。
あんま笑わないのも仕事だるいからだし、その子供のような笑顔っていうのは確実にコーヒーにつられただけだ。
いつも俺らのことを馬鹿にしてゲラゲラ笑ってるっつーの。
「確かにAはやばいかもね」
傑がにこやかに笑みを浮かべながら言う。
やばい、違う意味でな。
「でっすよね!!お2人からもそう言わせるAさん、やっばりすごい……シビれるなぁ……!!」
俺なんも言ってねぇんだけど。
「男性女性両方からモテるのも頷けます!!」
「え、なにアイツ、モテてんの?」
「そりゃあもう!!Aさんに話しかけてたいがためにみんなこぞってAさんに缶コーヒー差し入れしたり、お菓子差し入れしたり、食事に誘ったり!!食事はだいたい断られるんですけどね……」
補佐監督にまで貢がれてんのかよあいつ……。
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作者名:フルーツパンチ侍 | 作成日時:2023年9月2日 4時