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クズどもはほぼなにもせず、私たちを遠くの方から見つめるだけだった。Aが男で、女狩りしてなかったら、確実に彼氏にしてた。
そして荷物はサラッと持ってくれる。…………イケメンかよ。(2回目)
Aは私が着て欲しいと言うと、なんでも着てくれた。そしてこれが何着せても似合う。
パンク系もアメカジ系も可愛めコーデも、なんでも似合った。
顔がいいって恐ろしいな。
「お姉さん達、めっちゃイカしてんね。俺らと遊ばない?」
歩いていたら、ですよ系の男達が私たちの前に立って道を塞いできた。
今までAが威圧的なオーラを放っていたからか、誰も私たちを強く呼び止めて来なかったが、初めてのタイプに遭遇した。
Aはどうするんだろう。
立ち止まっていたAは、男達をガン無視して避けるように歩いて行こうとしたが、それは叶わなかった。
Aの腕を男ががっしり掴んでいる。
「聞こえてた?」
「そこのクソ野郎どもォ!硝子とAは、」
「離せ」
殺気のこもった低い声がAから発せられた。
後ろから駆け寄ってきていたクズ2人も立ち止まる。
「あ?」
「硝子とデート中なんだよ。邪魔されたくないんだ」
「だから、ダブルデートしようぜ?」
「しない。これ以上硝子とのデートの邪魔をするなら……この腕このままへし折んぞ」
Aが掴まれた腕を掴み返すと、男はうめき声を上げた。
そのまま男は地面に膝をつく。
「っこの女ァ!」
もう1人が無謀にもA目掛けて飛びかかってきたが、もちろんAに届くことはなかった。
「っぅあ……」
その男の顔の横にその長い脚で蹴りが入る寸前で寸止めされていた。
「失せろ」
その男はもう1人を置いて逃げ去っていった。Aはそれを気にも留めず歩き始める。
これは、惚れる。
「…………A、イケメン。好き」
「それは光栄だな。私も硝子のこと好きだよ」
「Aがイケメンすぎて、私達の出る幕が全くないね……」
「こんなんもう俺らただの邪魔者じゃん!!」
「ようやくわかったのか。ならとっとと帰れ」
「消えろクズども」
「冷たすぎるぅ……傑ぅ……」
「悲しいけれど仕方がないよ、悟」
それを見たAがため息をついてほんの少しクズどもに甘くなるまでがワンセット。
そういうところも私は好きだ。
本当にこの人は、人たらしだな。
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作者名:フルーツパンチ侍 | 作成日時:2023年9月2日 4時