彼氏は一緒にショッピングに行って見定めるべし(硝子) ページ35
Aはいつもやる気がない。
自習の時間に監督に来ては私たちがサボっていても、特になにも言わない。
ずっと教卓で椅子に座って缶コーヒーを飲みながらジャン部を読んでいる。
それつまんないって言ってなかったっけ。
「Aの私服さ、いつもなんか、大胆なもの多いよね」
んー?と顔を上げたAは力が抜けきった目で私の方を向いた。
「そうかー?言われてみれば……そうかもなー」
自分のことなのに興味がまるでなさそうだ。
「Aが選んでるんじゃないの?」
「いや、ほぼもらいもんだな。いつもまだ着れそうなやつを選んで着てる」
「お前……服まで男からの貢ぎもんなのかよ」
「そうだな。だから私のお客サマ達の趣味が全面に反映されてるだろ?大体マリ◯ンモンローが着てそうなやつばっか」
マリ◯ンモンローでももっとマシな服着てるわ、って言う服も混じってるしなー、とAは遠い目をしながら言う。
それでいつもAの服は露出が多いわけか。納得。
でもその服全てがAには完璧に似合っていた。
「Aってなに着ても似合うのいいよね〜」
「硝子も似合うだろ?高知で着てた服も、硝子の大人っぽい可愛さをよく引き立ててた」
Aは女子にはめっぽう甘い。そして、人の褒め方も喜ばせ方も熟知している。
Aは教卓の上に肘をついて私に大人の笑みを浮かべていた。
そういう表情の節々に10年という年月の差を見せつけられる。
「ねぇ、私のショッピング付き合ってよ」
「……私がか?」
「それしかないでしょ」
クズどもを誘うわけないじゃん。
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作者名:フルーツパンチ侍 | 作成日時:2023年9月2日 4時