飯は無理のない程度で(五条) ページ4
旅館を朝飯を食べてから朝早くに発ち、俺たちは車で大阪に向かっていた。
「朝飯も美味かったなぁ〜!あの旅館覚えとこ」
帰る頃にはAは旅館の女将にすっかり気にいられていた。
人たらしめ。
またお越しください、と女将はにこやかにAを見送っていた。
大阪で一仕事終わらせ、最終目的地の高知まで飛ばして2時間もしないうちに着いた。
えぐい飛ばし方だったのは間違いない。
「ほぉー、ここが高知か!!さぁて、鰹のたたき食うぞぉ」
Aの頭には相変わらず飯の事しかない。歴史研究がどうとか言ってたヤツ誰だよ。
市場みたいなところに潜り込み、Aはそこにある全店舗から料理を買いに回っていたらしい。えぐい量だ。
「さぁ食え食え!!せっかくここまで来たんだからな!」
俺の顔面を全力で有効活用して取れた席の机の上に溢れんばかりに色々な料理が置かれた。
「…………流石に多すぎないか?」
「食べ盛りなんだろ?傑」
自分の言った言葉がこんな所で返ってきて、傑は顔を引き攣らせた。
なかなか食べ切れる量じゃない。
「ちょーっとずつ食っていったら食える!どっ、硝子?美味しい?」
「美味しい」
「硝子がよしなら全てよし!」
「なんでだよ」
結局、俺ら2人がたらふく食って全部食い切ったが、その量はやはり4人には少しキツかった。
「食いすぎ、た……」
「…………吐きそう」
「硝子〜いまこいつらに腹パンしたらどうなると思う?ゲロ虹色だったりして〜」
「えー、汚いから止めてよね」
ふざっけんな……!お前らがもう食えねぇって俺らに無理やり食わせたんだろうが……!
俺がAを睨みつけると、Aはケラケラと笑った。
「食いすぎたお前らには運動が必要だなぁ!!桂浜行って山道歩くぞー!」
「あいつっ…………絶対いつか復讐してやるっ……」
「今回は同感だよ…………」
あからさまな嫌がらせに俺たちはAに呪いの言葉を吐いていた。
だがしかし、さすが俺たち。消化は早かった。
桂浜で海を目の前にするまでには胃の圧迫感は消えていた。
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作者名:フルーツパンチ侍 | 作成日時:2023年9月2日 4時